精神科・心療内科で利用できる制度
当院では、各種公的制度に対応しています。各種公的制度には医師による診断書が必要なこともありますので、まずはお気軽にご相談ください。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、定期的な通院治療が必要な精神障害の患者さまの経済的負担を軽減するために設けられた公費負担医療制度で、精神保健福祉法および精神障害者総合支援法に基づいて各地方自治体が実施しています。したがって、この制度を利用するためには、お住まいの自治体でのお手続きが必要となります。制度を使用していただくと、原則として患者さまの自己負担が1割となり、健康保険適用額と患者さまの1割負担額との差額が支給されます。また、所得に応じて医療費の上限額が定められており、患者さまがそれを超えて負担することがなくなります。
自立支援医療制度の使える場面・
使えない場面
制度を利用できるのは、精神疾患の通院医療のみとなります。指定医療機関で風邪やケガなどの治療を受けた場合でも、本来の健康保険の自己負担額を支払う必要があります。
自立支援医療制度を使える場所
精神疾患に関する通院医療に限ります。指定医療機関で風邪やケガなどの治療を受けた場合でも、本来の健康保険の自己負担額を支払う必要があります。
自立支援医療制度の有効期限
自治体に受理された日から1年間有効で、1年ごとに更新手続きが必要になります。また、2年おきに指定医療機関の医師による所定の用紙での診断書が求められます。
自立支援医療制度はどうやって
申請する?
- すべての医療機関が対象ではありません。指定自立支援医療機関で継続して通院治療を受けている方が対象となります。申請には指定医療機関の医師の診断書が必要です。また、申請時に「重度かつ継続」に該当する方は、診断書の他に医師の意見書の提出も必要です。
- 必要書類が揃いましたら、お住まいの自治体の窓口で申請してください。※必要書類、窓口等の詳細については、お住まいの各自治体にお問い合わせください。
- 申請から受給者証が届くまで数ヶ月かかる場合があります。その間は申請書の控えを受給者証の代わりとして対応しますので、大切に保管し当院受診時にご持参ください。
- お住まいの自治体から受給者証が届きましたら、その後の受診時には受給者証と自己負担限度額管理表を診察時に医師にご提示ください。また薬局等の窓口にもご提示ください。
自立支援医療制度の申請に必要なもの
- 診断書
- 意見書(「重度かつ継続」に該当する方)
- 世帯の所得の分かる書類
(課税証明書、非課税証明書など) - 自立支援受給者証
- 保険証
- 印鑑
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神の障害により、長期にわたり社会生活や日常生活が制限されている方の社会的自立と社会参加を促進するために発行されているものです。障害の程度に応じて1~3級の3段階に分類されます。知的障害については、福祉手帳と同時に療育手帳も申請することができます。
精神障害者保健福祉手帳の受給対象者
(使える人)
以下の2つの条件を満たす場合は、お住まいの地方自治体の担当窓口に申請することで給付を受けることができます。
- 長期間にわたり、日常生活や社会生活に制約をきたす何らかの精神疾患がある
- 制約の原因となった精神疾患であると最初に診断されてから6ヶ月以上が経過している
精神障害者保健福祉手帳の有効期限
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は2年間となっています。更新手続きは有効期限の切れる3ヶ月前から可能です。
精神障害者保健福祉手帳はどうやって
申請する?
- 精神保健福祉手帳の交付を希望される場合は、まずは診察時に医師に交付対象かどうかをご確認ください。対象である場合は、お住まいの自治体窓口にて申請書と必要書類を入手してください。
- お住まいの自治体から受け取った書類を当院までお持ちください。申請の可否も当院の医師が最終判断いたします。なお、申請書の記入には2週間~1ヶ月程度かかります。更新の場合は、期限に遅れないよう余裕を持ってお申し込みください。
- 必要書類が揃いましたら、お住まいの自治体窓口へご提出ください。
- 申請から審査、交付まで数ヶ月かかるため、手帳が届くまでお待ちください。
精神障害者保健福祉手帳の申請に
必要なもの
- 診断書
- 申請書
- 写真(約4㎝×約3㎝)
精神障害者年金制度
精神障害を含むさまざまな病気や外傷による障害のため、働くことができない、または十分に働くことができない方が対象となるのが障害年金制度です。現在入院中や通院中の方は、この制度の受給対象に該当する可能性があるため、医師にご相談ください。
精神障害者年金制度の受給条件
精神障害者年金制度の受給条件
- 厚生年金、国民年金、共済年金などの公的年金に加入している方で、保険料納付済期間中に精神障害の診断を受けた方
- うつ病、統合失調症、躁うつ病(双極性障害)などの指定精神疾患をお持ちの方
- 保険料を3分の2以上納めている方
- 上記のいずれにも該当しない場合であっても、20歳になる前に精神疾患を発症し、診断された方。
障害手当金の種類
年金の額は、初診時に加入していた年金の種類、障害の等級、扶養家族の有無によって異なります。
障害基礎年金(1~2級)
精神疾患の初診日に国民年金に加入していた方で、障害等級1級または2級に該当する方が受給対象です。
障害厚生年金(1〜3級)
精神障害の初診日に厚生年金に加入していた方で、障害等級が1~3級に該当する方が受給対象です。厚生年金は基礎年金に上乗せされる制度のため、1~2級に該当する方は障害基礎年金も同時に受給可能です。
障害者年金はどうやって申請する?
申請のお手続きは、障害基礎年金か障害厚生年金かによって方法が異なります。
障害基礎年金
初診日に国民年金に加入していたか否かで、その後のお手続きが異なります。
- 初診日に国民年金に加入していなかった障害等級1級または2級の方は、お住まいの自治体の窓口にて申請が可能です。
- 国民年金に加入していた場合、初診日までに保険料の3分の2以上を納めていないと障害基礎年金の受給ができません。保険料と障害等級の条件を満たしている場合は、お住まいの自治体の窓口にて申請が可能です。
障害厚生年金
障害厚生年金、障害共済年金ともに、初診日までに保険料の3分の2以上を納付していることが必要です。ただし、20歳以前に精神疾患を発症し、診断された場合はこの限りではありません。
- 障害厚生年金に加入している方で、保険料納付の条件および対象となる障害等級(1~3級)の条件を満たす方は、社会保険事務所にて申請してください。
- 障害共済年金に加入している方で、保険料納付の条件および対象となる障害等級(1~3級)の条件を満たす方は、それぞれの共済組合にて申請してください。
傷病手当金
傷病手当金は、働いている方が病気やケガなどで働けなくなった際に、ご本人やご家族の生活を支えるために金銭的な支援を受けられる制度です。この手当金を受け取るためには、定められた条件を満たしている方が対象になります。支給期間は最長で1年6ヶ月で、標準報酬月額の2/3を日割りした金額が休業日数に応じて支払われます。
この制度は組合健保、共済組合、全国健康保険協会の健康保険に適用されますが、国民健康保険には適用されないため、自営業者やフリーランスの方は受給できません。
なお、申請書の医療担当者の記入欄で発病または負傷の原因に「不詳」と記載することがありますが、これは「過重労働」などと記載し「労災ではないか?」と判断されるのを避けるためです。
傷病手当金の受給条件
傷病手当金の受給資格を得るには、以下4つの条件をすべて満たしている必要があります。
- 健康保険に加入している(被保険者様ご本人である)こと
- 医師により、業務外の傷病による就業不能と診断されていること
- 雇用主から給与が支払われていないこと
- 連続3日間の待機休業期間があること
退職後に傷病手当金は受け取れる?
傷病手当金の受給資格は、健康保険に加入している期間のみ有効です。また、退職後に傷病手当金を受給できるのは、以下の基準をすべて満たしている場合になります。
- 資格を喪失した日以前に、1年以上継続して被保険者であった場合
- 資格を喪失した時点で傷病手当金を受給していた、または受給資格があった場合
傷病手当金を受け取れる期間
傷病手当金の支給期間は、令和4年1月1日から、「支給開始日から通算して1年6ヶ月」に変更されました。たとえば、傷病手当金を1年間受給して復職し、その後6ヶ月以上働いた場合、受け取れるのは1年分のみです。1年6ヶ月という期間は一生涯で1つの病気に対してのみ適用され、同じ病名で再度受給はできませんのでご注意ください。
傷病手当金はどうやって申請する?
一般的な企業では、総務や人事労務などの部署が傷病手当金の申請窓口であり、そこで申請書類を入手できます。必要書類を窓口に提出し、会社が記入する部分も確認しましょう。通常は会社を通して、健康保険組合に申請し、給付手続きが行われます。ただし、上司の方が制度を知らない場合もあるため、ご自身で問い合わせるか、上司の方に確認していただくと良いでしょう。小規模な企業では社内で制度が知られていないこともあるため、その場合は保険証に記載された健康保険組合に直接お問合せしていただくことをお勧めします。
傷病手当金の申請に必要なもの
傷病手当金の申請には、定められた申請書類が必要になります。申請書類は、会社の総務部、人事部などの窓口で入手できます。申請書類には、事業主記入欄、従業員記入欄、主治医記入欄があります。当院に申請書をお持ちいただければ、主治医記入欄に診断内容を記入し、書類を発行します。
申請書の提出後、実際に支給を認定するのは健康保険組合です。そのため、申請通りの支給がなされるという保証はできませんので、あらかじめご了承ください。
傷病手当金は会社に病名がバレる?
病名を隠したい…。
まず休職のための診断書を会社に提出します。診断書には病名が記載されますが、会社によっては病名の開示や診断書の提出がなくても休職が認められる場合もあります。そして傷病手当金の申請時にも工夫によって病名を伏せられます。申請書類のうち、ご本人が記入する欄や医師に記入してもらう欄は会社に見せず、事業主が記入する部分のみを会社に提出して記入を依頼しましょう。その他の書類はご本人が健康保険組合に直接提出することで、会社に病名を見せずに申請が可能です。ただし、会社によっては自己申請の前例がない場合や、担当者が自己申請を知らない場合もあるため、冷静に対応し、事業主の欄のみを記入してもらいましょう。
各種診断書について
診断書とは、傷病名、症状、治療内容、治療期間など、患者さまの医療内容を記載した、医師が発行する公的な書類です。書式は医療機関によって異なるため、企業や団体によって書式が決められていることもあります。
診断書が必要な場面
診断書はさまざまな場面で必要になりますが、以下のような場合に診断書の提出を求められることが一般的です。
- 学校を休学する場合
- 休職または復職する場合
- 手当、援助、支援などを公的機関に申請する場合