手や指が震える方へ
手や指が震える原因として緊張やストレスによる影響の他、こころの病気、神経の病気、筋肉の異常、薬の副作用などさまざまな病態が考えられます。当院では主に精神的な原因から生じる手や指の震えについて原因を特定し、治療していきます。身体的な原因からくる手や指の震えが疑われる時には連携する内科などをご紹介いたします。
手や指が震える原因
薬物と飲酒の離脱症状
長期に渡って、薬物の使用と飲酒の習慣があった方がこれを突然やめると、離脱症状を経験することがあります。これにより神経のバランスが崩れ、体の震えが生じます。手や指の震えも離脱症状の1つです。その他の症状としては、不安、発汗、心拍数の増加、幻覚、重症の場合はけいれん発作などがあります。
社会、社交不安障害
社交不安障害(SAD)は、他者から評価されるような状況において、強い不安や恐怖を感じるこころの病気です。遺伝的要因と環境的要因の影響を受け、10代後半~成人期にかけて発症します。不安が強くなると、手や指の震え、発汗、心拍数の増加などの身体症状が現れます。
また、人前で文字を書く時に手が震える書痙もこの病気のひとつとされています。
パニック障害(広場恐怖症)
パニック障害では、パニック発作が起こった時に手や指が震える場合があります。不安により交感神経が過剰に緊張すると筋肉の収縮と弛緩のバランスが取れなくなるためです。パニック発作が起こった時に、心臓がドキドキする、呼吸困難感がある、血の気が引く感じがする、めまいがすると訴える方は多いですが、自覚していなくても手や指の震えを生じることがあります。
全般性不安障害
日常生活で起こりうるさまざまなことについて不吉な予感とともに不安が起こる病気です。子供の将来の事、親の健康問題、地震や落雷などの天災、交通事故など、ご自身ではどうすることもできないことについて不安を感じるために常に体は緊張している状態です。これにより筋肉が常に凝った状態となり、手や指の震えを自覚することがあります。
自律神経失調症
ストレスや生活習慣の乱れ、環境の変化などで自律神経が支配するさまざまな臓器に影響が出る状態です。精神的な症状と身体的な症状があり、身体的な症状の一つとして手や指の震えが出ることがあります。意識して指を動かそうとしても動かなかったり、動かすつもりがなくても震えがでたりすることがあります。
本態性振戦
振戦を生じる疾患として頻度の高い病気です。箸を持つ時やコップを持つ時など何かしらの動作をしようとすると手が震える症状が出ます。症状が重いと首や顔面も揺れることがあります。完全に力を抜いている安静時には震えはでません。家族や血の繋がりのある親戚に同じ症状の方がいることがあります。良性の震えとされており、日常生活で困っていなければ治療の対象になりませんが、アドレナリンを抑えるお薬で効果がでるため、困っている方は当院へご相談ください。
薬剤性パーキンソニズム
主に抗精神病薬といわれる統合失調症のお薬の副作用で生じる震えです。その他の薬として躁うつ病に使われる炭酸リチウムでも似たような震えが出ることがあります。基本的には薬剤の減量や変更を試みていきますが、場合によっては副作用止めのお薬を追加して様子を見ていくこともあります。手や指の震えの他には、パーキンソン病に似た小刻み歩行や前傾姿勢での歩行がみられることがあります。
手や指が震える場合の対処法
リラックス法を試す
ストレスが原因で自律神経のバランスが乱れている時などは、深呼吸や瞑想、ヨガなどリラックス法を取り入れて、ストレスを軽減してみましょう。また、パニック障害、社交不安障害、全般性不安障害などの不安障害では、意識してリラックスする習慣をつけることで不安をコントロールすることに繋がり病状が軽減しますので、ご自身にあったリラックス法を身に着けることをお勧めします。
カフェインやアルコールを控える
カフェインは手や指の震えを悪化させることがあります。コーヒーや紅茶、エナジードリンクの摂取を控えることで症状の緩和が期待できます。アルコールは依存状態となると、アルコールが体内から切れた時に離脱症状が起こります。離脱症状のひとつとして手や指の震えがでます。身近にある嗜好品で気づかないうちに依存が形成されるので、お酒好きで手の震えがある方は特に注意が必要です。
適度な運動やストレッチをする
適度な運動はストレスを軽減させる効果があるとされ緊張や不安、自律神経失調症などが原因の手や指の震えを改善させます。また運動やストレッチをすることで筋肉の凝りをほぐし、収縮と弛緩のバランスを整えることで手や指の震えを改善することができます。毎日継続できる、無理のない運動を日常生活の中に取り入れてみましょう。