精神科で使用するお薬 MEDICATIONS

Medications

精神科で使用するお薬の
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薬物療法

当院では、投薬を最小限にとどめる治療を心がけています。
治療にお薬が必要な場合は、効果だけでなく必ず副作用もお伝えします。ひとりひとりの患者さまの体調や症状にあわせてお薬を考え、患者さまと相談しながらお薬を決めていきます。以下は精神科で処方されるお薬の一例です。
※以下は、一般名(商品名)で記載した薬名です。

抗うつ薬

うつ病や抑うつ状態を改善し、気分や意欲を回復させるために用います。

エスシタロプラム(レクサプロ)

代表的なSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、脳内化学物質セロトニンを増加させます。うつ病の他、社会不安障害などの不安障害にも処方されることがあります。効果を確認しながら徐々に用量を調整します。SSRIの中では即効性が期待でき、不安にも効果がある薬です。副作用に吐き気があり投与開始直後に現れることがありますが、次第に改善していきます。その他、眠気の副作用があります。

セルトラリン(ジェイゾロフト)

セルトラリンは、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、うつ病やパニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に使用します。効果はセロトニンの再取り込みを阻害し脳内でセロトニンを増加させ、気分を安定させることです。副作用には吐き気、眠気などがあり、これらに留意しつつ徐々に用量を調整します。他のSSRIと同様に吐き気は投与開始直後に現れることがありますが、次第に改善していきます。

フルボキサミン
(デプロメール、ルボックス)

フルボキサミンはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の一種で、うつ病や強迫性障害、社会不安障害に効果があります。セロトニンの再取り込みを阻害し、脳内でセロトニンを増加させ気分を改善します。副作用としては、眠気や胃腸障害が見られます。胃腸障害は投与開始直後に現れることがありますが、次第に改善していきます。

パロキセチン(パキシル)

パロキセチンもSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で、うつ病、パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに使います。脳内のセロトニン濃度を高め、これにより気分を安定させます。眠気、めまい、吐き気が副作用としてあります。減薬する際は反動により症状が出ないように少しずつ減量します。

デュロキセチン(サインバルタ)

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の代表的なお薬で、神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンを増加させ、抑うつ状態を改善し、意欲を高めます。効果を確認しながら徐々に用量を調整していきます。線維筋痛症、糖尿病性神経障害、腰痛症、膝関節症の疼痛などにも適応があるお薬です。このため精神科・心療内科領域の他に整形外科領域で使用されます。

ベンラファキシン(イフェクサー)

ベンラファキシンは、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)で、うつ病に用いられます。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害することでこれらの脳内の濃度を増加させ気分を安定させます。副作用には眠気、頭痛、胃部不快感があります。細かく用量を増減できるのが特徴です。

ミルタザピン
(リフレックス、レメロン)

ミルタザピンはNaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬)で、うつ病に効果があります。食欲不振の改善と不眠の改善も期待できます。そのため副作用には、食欲の亢進や眠気、ふらつきが挙げられます。食欲不振や不眠のあるうつ状態や、焦燥が強いうつ状態に使われる傾向があります。

トラゾドン(レスリン、デジレル)

トラゾドンはSARI(セロトニン遮断再取り込み阻害薬)で、うつ病や不眠症に使用します。鎮静効果が強く、睡眠障害にも適応します。低用量で睡眠作用を、高用量で抗うつ作用を発揮します。副作用には、眠気やめまい、立ち眩みが報告されています。

ボルチオキセチン
(トリンテリックス)

従来のSSRIの効果に加え、各種セロトニン受容体を調整する作用があります。セロトニンだけでなく、ノルアドレナリン、ドパミン、アセチルコリン、ヒスタミンなどの働きを調整することで、抑うつ状態を改善し、不安症状に対する効果も見込まれます。抗うつ薬の中では眠気などの副作用が出にくい薬でもあります。

睡眠薬

不眠症を改善するためのお薬です。作用持続時間により超短時間型、短時間型、中時間型、長時間型の4つに分類されます。近年では、自然な睡眠を誘導し依存性の少ないタイプが開発されています。

レンボレキサント(デエビゴ)

オレキシン受容体拮抗薬と呼ばれる比較的新しいタイプの睡眠薬で、脳内の覚醒維持物質オレキシンの働きを抑えます。入眠障害、睡眠維持障害、熟睡障害に効果があり、依存性がないことが特徴です。ただし、効果が現れやすい方と現れにくい方がいます。

ラメルテオン(ロゼレム)

メラトニンという受容体に作用する効果があり、睡眠リズムを整え、自然な眠りに導くお薬です。軽い不眠症に効果が見込めます。途中で起きた時のふらつきが少ないなど、副作用は少ないとされていますが、まれに眠気や倦怠感などが出ることがあります。抗うつ薬のフルボキサミンとは併用が禁止されています。

マイスリー(ゾルピデム)

めまいが少なく依存性も少ないとされる非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で主に入眠障害に使用します。服用後、比較的早く効果が現れます。作用持続時間(効果持続時間)が短く、翌日に眠気が残りにくいのが特徴です。筋弛緩作用が少ないため、ふらつきが出にくく高齢者にも使いやすいとされています。

ゾピクロン(アモバン)

ゾピクロンは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、主に入眠障害の治療に使われます。入眠を促し、睡眠の質を改善します。副作用には、苦味や口の渇きがあります。高齢者にはごく少量から投与することとされています。

エスゾピクロン(ルネスタ)

エスゾピクロンはゾピクロンの改良版で、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。依存性が少なく、主に入眠障害に使用される睡眠薬です。副作用には唾液中に成分が残り、苦味を感じることが挙げられますが、人体に悪影響はありません。しっかりと朝ご飯を食べて唾液を出し切ることや、歯磨きをして唾液を流すことを行います。

リルマザポン(リスミー)

リルマザポンは、短時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬で主に入眠障害に使用します。作用時間は短く、寝つきを良くします。睡眠効果はマイルドで入眠のサポートに使用します。副作用には、眠気、めまいなどがあります。ふらつきが少なく高齢者へも使いやすい睡眠薬です。

ブロチゾラム(レンドルミン)

ベンゾジアゼピン系の短時間型睡眠薬です。入眠障害や夜中に目が覚めてしまう中途覚醒に適したお薬です。睡眠効果は比較的強く、オレキシン受容体拮抗薬や非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬で改善しない不眠症などに使用される傾向があります。

フルニトラゼパム
(ロヒプノール、サイレース)

フルニトラゼパムはベンゾジアゼピン系の睡眠薬で、中程度の作用持続時間があります。強い鎮静作用を持ち、不眠症の他には麻酔前の鎮静に使います。即効性があり、深い睡眠を促しますが、副作用には日中の眠気、めまい、ふらつきなどがあります。高齢者への使用は控えるか、使用するとしても副作用に注意します。

ニトラゼパム(ベンザリン)

本邦で初めて導入されたベンゾジアゼピン系睡眠薬です。鎮静作用があり、てんかんを改善する効果もありますが、現在ではほとんどが不眠症に用います。効果は中程度の持続時間があります。眠気、めまい、筋弛緩が主な副作用です。

抗不安薬

日常生活に影響が出るほどの不安や緊張を和らげるお薬で、(精神)安定剤とも呼ばれています。
効果の程度における強・中・弱と、持続時間における長・中・短に分類され、症状に合わせて処方します。

クロチアゼパム(リーゼ)

クロチアゼパムは、不安や緊張状態を緩和するベンゾジアゼピン系抗不安薬です。他の抗不安薬と比べて眠気の副作用が少なく、日中の不安に使用しやすい抗不安薬です。不安や緊張から生じる胃腸障害や、高血圧症、めまい、肩こり、食思不振などの身体症状にも効果があるとされています。

エチゾラム(デパス)

デパスは、睡眠障害、不安障害、うつ病の他、筋収縮性頭痛や腰痛など幅広い症状に使用されています。しかし、効能効果が多岐にわたり適応範囲が広いため、乱用されやすい、依存しやすいなど、注意点が多いお薬でもあります。そのため、2016年10月からは向精神薬に指定され、厚生労働省による処方制限の対象となっています。

アルプラゾラム
(ソラナックス、コンスタン)

アルプラゾラムは、パニック障害や不安障害の治療に使われるベンゾジアゼピン系抗不安薬です。即効性があり、不安や緊張を短時間で軽減しますが、副作用には眠気があります。不安や緊張からくる胃十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症にも効果が見込まれます。

ブロマゼパム
(レキソタン、セニラン)

ブロマゼパムは、抗不安作用を持つベンゾジアゼピン系のお薬で、不安や緊張、神経症の症状を緩和します。抗不安薬の中でも不安に対する効果がより期待できるお薬です。うつ病の方の不安症状や、強迫性障害の恐怖症状に対しても効果が見込まれます。また不安や緊張からくる高血圧症、消化器疾患、自律神経失調症にも使用されます。

ロラゼパム(ワイパックス)

ロラゼパムは、抗不安作用を持つベンゾジアゼピン系の薬剤です。他のベンゾジアゼピン系の抗不安薬と比べて、肝臓での代謝がシンプルなため肝障害のある患者さまや高齢者に対しても比較的使用しやすい薬剤です。副作用は他のベンゾジアゼピン系の抗不安薬と同様に眠気に注意する必要があります。

ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬ですが、効き目は中程度で、24時間以上持続します。就寝前の服用で熟睡効果が期待でき、翌日も1日中効果が持続するのが特徴です。依存性は低いですが、日中に少し眠気を感じることがあります。

ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)

ジアゼパムは、広範囲の不安障害や筋緊張、けいれん発作に使用されるベンゾジアゼピン系薬です。鎮静効果が強く、長時間作用しますが、眠気、めまいなどが副作用として報告されています。

クロナゼパム(リポトリール)

クロナゼパムは、抗てんかん薬であり、また不安障害にも用いられるベンゾジアゼピン系薬です。けいれん発作の抑制や不安の軽減に効果があり、長時間作用します。副作用には眠気、めまいなどがあります。

抗不安薬の依存性が心配な方へ

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ベンゾジアゼピン系の薬剤は脳内の「ベンゾジアゼピン受容体」に作用し、脳の興奮を抑える神経伝達物質である「GABA」の働きを強めます。これにより抗不安薬や睡眠薬として使われます。抗不安薬としては即効性があり、遅くとも15~30分で効き目が現れます。抗不安作用、抗うつ作用、筋弛緩作用、催眠作用、抗けいれん作用など、効能は多岐にわたります。特に抗不安作用は不安や緊張に良い効果が期待できますので精神科・心療内科領域ではとても大切なお薬のひとつです。専門の医師の診察のもとで適切に使用すれば依存性について心配はいりません。しかしながら、服薬の順守が疎かになったり、乱用されたりすると、依存症をはじめ同じ用量で効果が得られなくなる耐性、突然の中止による離脱などを引き起こす可能性があるため、医師の注意深い観察のもとで使用することが定められています。このためお薬の種類によっては長期間の処方が禁止されており30日間を処方期間の限度とする制限が定められています。

セロトニン1A部分作動薬

ダンドスピロン(セディール)

脳内物質セロトニンの受容体は1~7あります。なかでも、セロトニン1A部分作動薬は、1Aに分類される受容体に作用し、過剰なセロトニン活性を抑制することで効果を発揮する部分作動薬です。ベンゾジアゼビンのような依存性はないことが利点ですが、効果発現まで時間がかかり効力はやや弱く状況を選んで使用されます。

抗精神病薬

抗精神病薬は統合失調症の治療に用いられます。幻覚や妄想などの陽性症状と感情の平板化などの陰性症状に有効です。

アリピプラゾール(エビリファイ)

新しいタイプの非定型抗精神病薬で、副作用が少ないことが利点の一つです。脳内の神経伝達物質であるドパミンの働きを調節し、統合失調症の他、躁うつ病(双極性障害)、うつ病、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)の治療に処方することもあります。
副作用は比較的少ないですが、アカシジアと呼ばれるじっとしていられないなどの症状が出ることがあります。

ブレクスピプラゾール
(レキサルティ)

ブレクスピプラゾールは、統合失調症、うつ病の補助療法、アルツハイマー型認知症の攻撃性に用いるお薬です。ドーパミンとセロトニンの受容体を調整し、幻覚妄想、抑うつ気分、認知機能を改善します。副作用は少ないお薬ですが、アカシジア(じっとしていられない症状)などが報告されています。

リスペリドン(リスパダール)

セロトニンとドパミンの両方を調節するセロトニン・ドパミン拮抗薬に分類される非定型抗精神病薬です。統合失調症の他、広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)の治療にも使われることがあります。副作用には個人差がありますので、服用中に気になる症状がありましたらご相談ください。

パリペリドン(インヴェガ)

パリペリドンは、統合失調症や双極性障害の治療に使われる抗精神病薬です。ドーパミンとセロトニンの受容体に拮抗作用し、幻覚や妄想を抑制します。副作用として鎮静や起立性低血圧は起こしにくいですが、便秘やプロラクチン上昇、高トリグリセリド、錐体外路症状が含まれます。

オランザピン(ジプレキサ)

比較的古い非定型抗精神病薬の一種であり、多受容体標的抗精神病薬(MARTA)に分類されます。陽性症状も抑制しますが、陰性症状の改善が期待されます。躁うつ病(双極性障害)に処方することもあります。体重増加や血糖値の上昇を引き起こすことがあり、糖尿病の患者さまには禁忌とされています。

ルラシドン(ラツーダ)

統合失調症や躁うつ病(双極性障害)のうつ症状に対して使われるお薬です。幻覚、妄想、認知機能の改善などの効果が見込めます。不安や抑うつなどの感情も徐々に改善することが期待されています。

クエチアピンフマル酸塩徐放錠
(ビプレッソ)

クエチアピンフマル酸塩徐放錠は、双極性障害やうつ病の治療に用いられる非定型抗精神病薬です。気分の安定化や鎮静効果があり、副作用には眠気、体重増加、口の渇きなどが報告されています。

気分安定薬

躁うつ病(双極性障害)の症状を改善し、症状が安定してからも維持療法として使われるお薬です。

炭酸リチウム(リーマス)

中枢神経に働きかけ、気分の高揚や活動性の亢進を抑え、躁状態、うつ状態の両方に有効です。ただし、うつ症状には効果が弱いとの報告もあります。副作用はめまい、頭痛、眠気、吐き気、嘔吐、下痢などが多くみられます。また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)との併用には注意が必要で、血中濃度のモニタリングが重要です。過量服薬などで血中濃度が上昇すると重篤な副作用が出る薬剤です。このため当院では基本的にこのお薬の使用は控えています。

バルプロ酸ナトリウム(デパケン)

躁うつ病(双極性障害)の躁状態に効果を示す気分安定薬です。躁うつ病(双極性障害)の他、てんかんや片頭痛の治療にも用います。胎児への副作用が報告されており妊娠している女性への投与は控えた方が良いとされています。

妊娠を考えられている女性の方へ

バルプロ酸ナトリウムには生殖機能に対する副作用があるため、妊娠を希望する女性の服用には注意が必要です。
また、このお薬は胎児の認知発達に影響を及ぼすと考えられています。妊娠を希望する場合には投与を中止し、他の薬剤に切り替えるべきですが、どうしても本剤を使用する必要がある場合は、様子を見ながら用量を増減して処方を継続します。

カルバマゼピン(テグレトール)

もともとはてんかん発作や三叉神経痛の治療薬として承認されましたが、その後、躁うつ病(双極性障害)の躁状態にも効果があることがわかり、躁うつ病の治療薬としても承認されました。
脳には脳神経の興奮に繋がる神経があり、この神経のスイッチが入ると脳が異常に興奮します。カルバマゼピンは、この神経スイッチが入らないようにすることで脳の興奮を抑えます。飲み合わせが難しく、グレープフルーツジュースなど一緒に飲んではいけない飲み物や食べ物があります。重篤な副作用は非常にまれですが、眠気、めまい、ふらつき、倦怠感、運動失調、脱力感、発疹などが考えられます。

ラモトリギン(ラミクタール)

てんかん発作や躁うつ病(双極性障害)のうつ状態の治療薬として承認されているお薬です。発疹という皮膚の症状を起こしやすいため、投与開始後2ヶ月程度は副作用の発現に注意しながら徐々に用量を調整する必要があります。その他、眠気や吐き気にも注意します。

注意欠陥・多動症(ADHD)治療薬

アトモキセチン(ストラテラ)

注意欠陥・多動症(ADHD)に使われるノルアドレナリン再取り込み阻害薬の一種で、脳内のノルアドレナリンとドパミンを増加させ、注意力や落ち着きを改善します。効果が現れるまで1~2ヶ月かかるとされています。

グアンファシン(インチュニブ)

グアンファシンは、注意欠陥・多動症(ADHD)の治療薬で、ノルアドレナリン受容体を調整し、集中力と衝動性を改善します。副作用には眠気、血圧低下、めまいなどがあります。

認知症治療薬(抗認知症薬)

※代表的な薬剤のみ挙げています。

ドネペジル(アリセプト)

アセチルコリンの分解を抑えることで脳内のアセチルコリンの量を回復させます。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の治療に用いられます。お薬を用いても認知機能は徐々に低下していきますが、その進行を遅らせる効果があります。

メマンチン(メマリー)

中等度から重度のアルツハイマー型認知症の進行を抑えることが期待できます。認知症によって過剰に産生されるグルタミン酸を抑制する効果があります。神経の興奮を抑えるため情動を穏やかにする作用もあります。服用初期には、眠気やふらつきを生じることがあるため少量から開始して徐々に調整します。腎機能に応じて用量調整を行います。

漢方薬

不眠

酸棗仁湯(サンソウニントウ)

神経症、自律神経失調症などによる不眠症に対して処方します。主薬のサンソウニンにブクリョウなどを加えた補気作用があります。心身ともに疲労し、体力が低下している方に適しており、睡眠のリズムが乱れ、よく夢を見て熟睡感がなく、眠ろうとしても目がさえてなかなか寝付けない不眠症の方に適しています。

黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)

体力中等度以上で、赤ら顔、のぼせやすい方に適したお薬です。オウゴン、オウレン、オウバク、サンシシなどが配合されています。不眠やイライラ感、めまい、動悸などの精神神経症状、湿疹や皮膚炎などの皮膚症状、胃炎などの消化器症状など多方面に効果があり、女性ホルモンの変動による精神神経症状にも有効です。

加味帰脾湯(カミキヒトウ)

トウキ、サイコ、サンシシ、ショウキョウ、タイソウ、ニンジンなどの成分で、胃腸の調子を整え、血液を増やすことで熱や気の高ぶりを抑え、眠りが浅いタイプの不眠を改善するお薬です。
虚弱体質、貧血、顔色の悪い方に適し、イライラ感などの精神神経症状にも効果があります。

抑肝散加陳皮半夏
(ヨクカンサンカチンピハンゲ)

トウキ、センキョウ、ソウジュツ、ブクリョウなどにチンピとハンゲが配合されたお薬で、栄養の不足を補い、精神神経症状の興奮を抑える働きがあります。
女性ホルモンの変動に伴う心身の症状や不眠、不安、イライラ感、動悸、神経症など体力中等度で胃腸がやや弱い方に適しています。

抑肝散(ヨクカンサン)

主成分はソウジュツ、ブクリョウ、トウキ、センキョウなどです。「肝」は広く精神や自律神経の働きを表し、抑肝散は「肝」の興奮を抑えて、イライラ感や神経症、不眠症、女性ホルモンの変動による心身の症状に効果があることからこの名が付けられました。体力中等度の方に適しています。認知症の周辺症状にもよく処方されます。

不安、パニック

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)

ハンゲ、コウボク、ブクリョウ、ソヨウ、ショウキョウなどの成分を配合したこのお薬は、「気」の滞りによる喉のつまり感を解消する作用があります。中医学で「気」は、人体を精神的にも肉体的にも動かす根源的なエネルギー源であり、体力中等度の方でも、精神的な不調が身体に及ぼす影響によって喉のつまり感や胃腸への負担を感じる場合に効果があります。

五苓散(ゴレイサン)

五苓散は、漢方薬で、水分代謝の改善に効果があります。むくみやめまい、頭痛、二日酔い、下痢などに使われます。体内の余分な水分を排出し、胃腸の調子を整えます。副作用は少ないですが、まれに胃腸障害が報告されます。

苓桂朮甘湯
(リョウケイジュツカントウ)

苓桂朮甘湯は、めまいや立ちくらみ、動悸などの治療に用いられる漢方薬です。体内の水分バランスを整え、精神的な不安定感にも効果があります。副作用は稀ですが、胃の不調やアレルギー反応が生じることがあります。

半夏白朮天麻黄湯
(ハンゲビャクジュツテンマトウ)

半夏白朮天麻黄湯は、頭痛やめまい、ふらつきに対して用いられる漢方薬です。胃腸の働きを整え、体内の湿気や余分な水分を排出することで、症状を緩和します。副作用には、胃腸障害がまれに報告されます。

人参養栄湯
(ニンジンヨウエイトウ)

人参養栄湯は、体力低下や疲労、食欲不振、冷え症に効果がある漢方薬です。全身の気力と血行を改善し、免疫力を高めます。副作用は少ないですが、まれに胃腸の不快感が生じることがあります。

加味帰脾湯(カミキヒトウ)

トウキ、ニンジン、サイコ、サンシシ、タイソウ、ショウキョウなどを配合したお薬で、不眠症にも効果があります。成分のうち、トウキ、タイソウ、ショウキョウは、幸せホルモンとして知られるオキシトシンの分泌を促し、パニック発作、不安、強いストレスによる圧迫感を軽減する働きがあります。虚弱体質、貧血、顔色が悪い方に適しています。

月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

トウキ、ビャクジュツ、サイコ、ショウキョウなどから作られる逍遥散に、サンシシ、ボタンピを加えた加味逍遥散は、婦人科による更年期障害を含めた不調のほとんどに用いられる、産婦人科の三大漢方薬の1つです。男性では、精神神経症状の興奮によるイライラ感や抑うつにも効果があるといわれており、体力中等度以下の方が対象です。

当帰芍薬散
(トウキシャクヤクサン)

トウキ、シャクヤク、ソウジュツ、タクシャなどの成分を配合したこのお薬には、栄養を補い、血行を良くし、体を温める作用があります。産婦人科の三大漢方薬の1つであり、月経痛、月経不順、更年期障害の諸症状の他、貧血、倦怠感、めまいなどに効果があります。体力が弱く、痩せていて貧血になりやすい方に適しています。

桂枝茯苓丸
(ケイシブクリョウガン)

ケイシ、ブクリョウ、トウニン、シャクヤク、ボタンピを配合したお薬です。血行を良くしてほてりや悪寒を和らげ、女性ホルモンの変化や女性の子宮・骨盤内臓の炎症による症状を鎮める他、頭痛、めまい、肩こり、足の冷えなどの症状にも効果があります。比較的体力が強い方や赤ら顔になりやすい方に適しています。

女神散(ニョシンサン)

コウブシ、センキョウ、ソウジュツ、トウキ、オウゴン、ケイヒなどを配合したお薬です。栄養の不足や血行不良によるのぼせ、めまい、肩こり、精神不安定など、さまざまな症状に悩む女性に使用され、長期服用することで月経に伴う身体症状と精神症状の両方に効果を発揮します。体力中等度から高等度の方に適しています。

桃核承気湯
(トウカクジョウキトウ)

トウニン、ケイヒ、ダイオウ、カンゾウ、無水ボウショウなどを配合したお薬です。
月経前や月経中の血液の滞りによる心身の諸症状に効果があります。特に、血行の停滞(瘀血=おけつ)を改善し、イライラ感や不安を鎮め、ホルモンバランスを調整する働きがあります。体力中等度以上で便秘しやすい方に適しています。

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