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「働き世代の適切な睡眠とは」
~睡眠の質を上げる~

働き世代は慢性的な睡眠不足

2022年に公表された「健康日本 21(第二次)最終評価」では休養の指標である「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合」が増加していることが分かりました。年齢別では特に中高年の働き世代で増加の割合が多くなっています。 睡眠は健康の増進とその維持に必要な休養活動のひとつです。日中の活動で生じた心身の疲労を回復するとともに、脳機能を改善させ職場での作業環境への適応能力を向上させることにもつながります。 睡眠の状態が悪くなると翌日のパフォーマンスが上がらないだけでなく、これが慢性的に続くと脳や心臓、内分泌(ホルモン)、免疫機能、認知機能、精神に関連したさまざまな疾患の発症が増加し、寿命が短くなるリスクが高まることが分かっています。 働き世代では長時間労働や仕事のストレスから慢性的な睡眠不足におちいりがちです。その様な中で、睡眠の質を上げるためにまずは適切な睡眠についてお伝えします。

適切な睡眠とは?

睡眠の質を上げるために、まずは適切な睡眠を理解しましょう。適切な睡眠の指標として「睡眠時間を確保すること」、「睡眠による休養感を得ること」この2つが大切です。 睡眠時間が確保できない方は、まずは睡眠時間をしっかりと作りましょう。一方で、心身が必要とする睡眠時間以上に眠ろうとして、早めにベッドに入ると寝付くまでに時間が長くかかったり、途中で目が覚める回数が増えたりして、かえって睡眠の質が低下することになります。一晩で眠ることができる時間には限りがあるため、睡眠時間と睡眠の質のバランスが大切です。その結果が睡眠による休養感を得ることにつながります。

睡眠時間の目安は?

それでは適切な睡眠時間の目安はどのくらいでしょうか。必要な睡眠時間は年齢によって変化します。年齢を重ねるにつれて徐々に眠ることのできる時間は減少していきます。15歳前後では約8時間、25歳前後では約7時間、45歳前後では約6,5時間、65歳前後では約6時間前後とされています。ただ、必要な睡眠時間は季節や個人でも差があります。冬季は日照時間の関係などから睡眠時間が10分から40分長くなります。反対に夏場は他の季節に比べて睡眠時間が短く、寝つきやその後の眠りの持続が難しくなります。 また、10時間を超える長い睡眠時間を必要とする人(ロングスリーパー)もいます。長い睡眠時間を必要とする方が、適切な睡眠時間にしようと無理に短くすると睡眠不足をまねく可能性があり注意が必要です。

働き世代の睡眠時間は

日本人の働き世代は慢性的に睡眠時間が不足しがちです。働き世代で睡眠時間が確保できない最も多い理由は勤務時間の長さです。特に1日当たりの時間外労働が5時間を超えると睡眠時間は極端に短くなるとされ、長時間労働を控えるなどの労働時間の調整も必要となります。働き世代では、まずは6時間以上を目標として6,5時間から7時間を目安に適切な睡眠時間を確保することが大切です。

睡眠時間が短いことによる健康へのリスク

睡眠時間が短いと、肥満、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳疾患、認知症、うつ病などの発症リスクを高めることが明らかになっています。睡眠時間が6時間未満の人は7時間以上8時間未満の人と比べて、心筋梗塞などの心血管系の発症リスクが約5倍、うつ病で約2倍になるとされています。また、6時間未満になると死亡リスクが有意に上昇するとの報告がなされています。7時間前後の睡眠時間の人が生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至るリスクが最も低く、これよりも長い睡眠も短い睡眠もこのリスクを増加するとされています。

休日の寝だめについて

平日に確保できなかった睡眠時間を休日に確保しようとするいわゆる休日の寝だめですが、実際には眠りをためることはできません。休日に睡眠をまとめて取る習慣は、社会的な時差ボケといわれます。平日よりも1時間ほどの長めの睡眠は休日の休養をもたらしますが、それ以上の長い睡眠は、睡眠と覚醒のリズムを乱す原因となります。毎週末に時差地域に出向くことと似た状態となり、体内時計のずれが頻回に生じることによる健康への悪影響が報告されています。休日に長時間の睡眠が必要な場合には平日の睡眠時間が不足しているサインでもあり、平日の睡眠習慣を見直す必要があります。

睡眠による休養感の確保について

十分な睡眠時間の確保とともに、睡眠の質を上げて休養がとれている感覚を向上させることが大切です。睡眠時間が短い場合でも睡眠の質が確保され、休養感がとれていると死亡リスクは増加しないことが分かっています。睡眠による休養感は、自身の健康度を反映する自覚的な指標のひとつとなります。また、こころの健康にも休養感は影響します。メンタルヘルス不調にともなう睡眠に関する訴えで最も頻度が多いのは睡眠の質が悪く休養感が得られないことで、うつ病の発症と関連することが示されています。さらに休養感は認知機能や感情の安定とも関係することが示されています。睡眠による休養感を低下させる要因としては、仕事による日中のストレスを寝床に持ち込んだり、就寝前の夜食を取ったり、朝食抜きなどの食生活の乱れや、運動不足、うつ病などの心の病気などがあげられます。睡眠の質を上げることで休養感を高めるために、食生活に注意し運動習慣をつけるなどの生活習慣の見直しや、嗜好品に注意したり、寝室の睡眠環境を整えたりすることも有効です。

働き世代に適切な睡眠とは まとめ

厚生労働省による調査では「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合」は増加しており、年齢別では特に中高年の働き世代で増加の割合が多くなっています。睡眠が上手くとれない期間が続くと脳や心臓、精神疾患などの発症が増加し、寿命が短くなるリスクが高まることが分かっています。睡眠の質を上げるために大切なことは、「適切な睡眠時間の確保」と、「睡眠による休養感の確保」の2つです。特に働き世代で睡眠時間がとれない理由には、長時間労働があります。この場合には労働時間を調整して睡眠時間を確保しつつ、生活習慣の見直しなどで睡眠の質を向上させ睡眠による休養感を高めることが必要になります。

 

当院では働く方のメンタルヘルスにも力を入れています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

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