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「睡眠の質を上げるためのセルフケア」
~働き世代の良質な睡眠のために~

働き世代は慢性的な睡眠不足

前回は「働き世代の適切な睡眠とは」というテーマでお伝えしました。働き世代は慢性的な睡眠不足になりがちです。長時間残業があれば睡眠時間を確保することが難しくなり、そうでなくとも仕事を終えてから家事、育児、介護と時間を取られてしまいます。良い眠りに必要なのは「睡眠時間」と「休養感」の確保です。働き世代の限られた睡眠時間で、休養感を確保し、睡眠の質を上げるために、ご本人でできるセルフケアがあります。体内時計を整えて、嗜好品に注意し、寝る前の行動や寝室の環境を見直すことが有効です。良い眠りにこだわり過ぎず、力を抜いてリラックスした心理状態で寝床に入ることも大切です。ご本人でできる睡眠の質を上げるためのセルフケアについてお伝えします。

体内時計を整える

眠れなくても、朝は同じ時間に起きるようにしましょう。寝る時間にこだわらずに、起きる時間を一定にすることが最も大切です。人は24,5時間程で睡眠と覚醒のリズムが周期的に訪れるとされています。1日中暗い場所で過ごすと、寝つくのが遅くなり、起床時間も遅くなります。これが少しずつずれてしまった結果が昼夜逆転のリズムです。そうならないように太陽の光で1日の24時間のリズムに毎日補正しています。朝の起床時にカーテンを開けて朝日を浴びて、日中は明るい場所で過ごすことで体内時計が整います。

朝食をしっかり摂り、寝る前の夜食は控える

朝食をしっかり取ることで、覚醒のスイッチが入り、体内時計が朝を認識します。反対に朝食を抜くと、体内時計が後ろにずれてしまい、寝つきが悪く、睡眠不足になりやすくなります。しっかりと朝食をとるようにしましょう。また、睡眠前の2時間以内に夜食をとると睡眠の質を低下させる可能性があります。食事は1日のリズムを作るのに大切です。決まった時間に、適切な量を取るように心がけましょう。食事の量や3食のタイミングに注意してリズムを整えることも大切です。

日中の運動・身体活動を増やす

日中に体を動かし、適度な身体活動を増やすことで、疲労を感じて寝つきが促され、眠りが深くなり、睡眠の質が上がります。習慣的に運動をしている人の70%以上は睡眠の質が良いことが分かっています。運動を習慣化することでリズムがとれ、睡眠の質が良くなります。働き世代では、ジョギングや水泳などの中・高強度の身体活動が睡眠不足のリスクを減らします。

お昼寝について

昼寝はタイミングを選ぶことと、短めの時間にすることが大切です。14時よりも前の時間に、30分以内の昼寝であればその夜の睡眠に大きな影響はないとされています。

嗜好品との付き合い方について

睡眠の質に影響する嗜好品としてカフェイン、ニコチン、アルコールがあります。それぞれ見ていきましょう。

カフェインについて

コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは覚醒作用や利尿作用があるため眠りを浅くしたり、途中でお手洗いに起きたりする原因になります。午後にカフェインを含む飲料を飲まないことは大切ですが、1日当たりの摂取量についても気を付けましょう。摂取したカフェインの血中濃度が半分になる時間は個人差がありますが約5時間とされています。たとえば、午前中に4杯のカフェインを含む飲料を飲むと、夕方におおよそ1杯分のカフェインが体内に残ってしまうことになります。

喫煙

煙草に含まれるニコチンには覚醒作用があり、眠りの質を下げてしまいます。喫煙歴が長いと睡眠時無呼吸の可能性が高まることにも注意が必要です。

アルコール

飲酒すると眠りやすくなると考えがちですが、お酒で寝つきは良くなることはあるものの、睡眠の質を低下させてしまったり、尿意を感じてしばしばお手洗いに起きてしまうことになり、結果として浅い眠りにつながってしまいます。また、アルコール依存状態になると、かえって不眠をまねきます。

寝るときの行動・環境について

寝るときの行動や寝室の環境などについて改善できるものから無理のない範囲で取り組みましょう。

入浴習慣を取り入れる

入浴は心身ともにリラックスする効果があり、これにより睡眠に入りやすくします。また、入浴により体を温めて手足の血管を拡張させることで、入浴後の熱放散を促進します。就寝前の1時間から2時間前にお風呂からあがると、体温が下がる過程で入眠しやすくなるとされています。お風呂の温度が熱すぎるとかえって覚醒してしまうため、温めの半身浴でゆっくり体を温めるのが良いとされています。

リラックス法をもつ

日中のストレスからぐるぐる思考が止まらず、感情が高ぶると、このままでは眠ることはできません。感情の高ぶりを抑えて眠りに適した状態にするために、就寝前には音楽やアロマオイルなどのご本人に合ったリラックス法を持つことが大切です。

照明を薄暗くする

睡眠前の約1時間前からリビングの照明を薄暗くするなど明るさに気を付けて、眠くなってから寝床に入りましょう。この時にスマートフォンやパソコンの使用を控えるようにしてください。寝室にスマートフォンを持ち込まないことや、眠る前にメッセージの返信をしないなどの習慣をつけることも大切です。

寝室の環境を整える

寝室の環境で大切なのは「光・温度・音」です。睡眠の質を上げるために、寝室の環境を見直しましょう。

光をコントロールする

就寝中に寝室に光が入らない環境を作りましょう。夜は繁華街からのネオンライトが寝室に入らないように、夏場は早朝の朝日を遮断できるよう遮光カーテンを使うようにしてください。起床したら、カーテンを開けて朝日を浴び、日中はカーテンを開けて室内に光を取り入れましょう。夜は室内の照明の明るさを弱くして光の量を減らし、睡眠に入りやすくしてください。日中は明るく、夕方から夜は暗い環境を作ることで体内時計が整いやすくなります。

適温を保つ

夏場はエアコンを使用し、寝室を涼しく保つことが大切です。夏場のエアコンの設定温度は26度から28度が適切とされています。涼しい寝室で毛布や布団などの寝具を使って睡眠をとることが休養感を得られるとされています。 冬季は、トイレに行くときや早朝の寒さで健康への影響がでないように室温が18度を下回らないように室温を管理しましょう。

音のない静かな環境で

騒音は寝つきを悪くし、睡眠を浅くします。できるだけ静かな環境を作り、眠るようにしましょう。リビングのテレビの音や、家事や炊事の生活音が聞こえないよう家族と一緒に就寝のタイミングをそろえることも場合によっては必要です。

リビングと寝室は別々に

リビングと寝室はできれば別々にもうけましょう。リビングと寝室を別にもうけることが難しい場合には、日中はベッドや布団の上で過ごさないようにしましょう。日中に寝床で過ごすと、「寝床は活動する場所だ」と脳と体が勘違いしてしまい睡眠の質が低下します。同じ理由で寝室は眠るためだけに使う部屋とするのが良いとされています。寝室をワークスペースにしたり、日中に寝室で過ごすのはひかえましょう。

力を抜いて寝床に入る

「今夜は早めに床について頑張って眠ろう」と、眠くないのに早めに床に就くのは控えましょう。寝床に入っても入眠できない時間ができてしまうと、かえって眠れなくなります。頑張って眠ろうとするのではなく「朝まで眠れなくてもいいや」と思えるくらい力を抜いたほうが、寝つきはよくなります。就寝時刻にこだわらないようにして、寝室で時計を確認するのも控えた方が良いとされています。寝つきが悪く20分以上眠れない場合には、一度ベッドから出て暗い場所でゆっくりして過ごし、無理に眠ろうとせずに眠気を感じたらまた寝床に戻りましょう。

睡眠の質を上げるためのセルフケア まとめ

働き世代は、帰宅してからも家事や育児などこなさなければならない事が多く、睡眠時間を確保するのが難しい場合があります。睡眠時間が確保できない場合は、睡眠の質を上げることで睡眠休養感を得ることが大切になります。お薬を使うのも一つの手段ですが、まずはセルフケアで、できることから取り組んでみましょう。体内時計を整えるために、時刻をそろえて起床し、朝日を浴びたり、朝食をしっかりとって覚醒のスイッチをいれることが大切です。身体的活動の習慣を取り入れて、嗜好品に注意し、寝室の環境を整えることや、入浴習慣やリラックスする時間を就寝前にもうけるなど、無理のない範囲でできることから試してみましょう。頑張って眠ろうとすると、かえって不眠をまねきます。力を抜き「朝まで眠れなくてもいいや」と思うなど心理的に入眠をコントロールすることも大切になります。

 

当院では働く方のメンタルヘルスにも力を入れています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

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