発達障害 DEVELOPMENTAL DISORDERS

Developmental disorders

職場・家庭でこのようなお悩みは
ありませんか?

  • 細かいことに注意を払えず、
    不注意なミスをしやすい
  • 注意力を維持するのが難しい
  • 気が散りやすく、
    きちんと話を聞いていないように見える
  • 指示に従ってタスクを完了できない
  • タスクや活動を整理できない
  • 同時に複数の仕事 ができない
  • 優先順位をつけて課題 をこなせない
  • 継続的な精神的努力を必要とする業務 を嫌う
  • タスクや活動に必要なことを忘れがち
  • 外部刺激に簡単に気を取られる
  • 日常の活動を忘れがち
  • 座っている時にそわそわしたり、落ち着かない動きをしたりする
  • 座っていないといけない場面で席を離れる
  • 不適切な状況で走り回ったり、
    物によじ登ったりする
  • 静かに遊ぶ、または余暇を過ごすことができない
  • 衝動に突き動かされているような感じで、
    じっとしていられない
  • おしゃべりが多すぎる
  • 質問が終わる前に、思わず答え始める
  • 順番を待つのが難しい
  • 他の人を邪魔したり、順番に割り込んだりする

など

発達障害とは

発達障害とは脳機能の発達にかかわる生まれつきの特性を持っている方です。発達障害のある方はコミュニケーションや対人関係を作るのを苦手とします。その行動や態度は自分勝手な人、困った人などと誤解され、周囲からは距離を置かれがちになることも少なくありません。親のしつけや教育の問題ではなく脳機能の発達段階での障害と考えられています。発達障害は複数の障害が重なって出ることもあり、その障害の程度や本人の置かれている生活環境、社会環境によって症状の様式がさまざまであることがあります。発達障害にはいくつかのタイプがありますが、ここでは広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)、注意欠陥・多動症 (ADHD)を取り上げています。

発達障害のグレーゾーンとは

発達障害の特性は多様で、診断する際に明確な線引きが難しい場合があります。
発達障害のもう1つの特徴は、発達障害の特性がいくつかみられるものの、発達障害と診断するには不十分な「グレーゾーン」が広いことです。近年グレーゾーンという表現が広く使われるようになりましたが、正確な医学用語や診断名ではなく使用するには留意が必要です。たとえば、不注意があり、落ち着きがないのに注意欠陥・多動症(ADHD)と診断されない方や、こだわりが強いが対人コミュニケーションが得意で広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)と診断されない方など、発達障害の特性を持っていても確定診断に至らない場合があります。また、複数の発達障害の特性をあわせ持つ方も多く、複数の診断がなされる場合もあります。

当院で対応している発達障害

広汎性発達障害
(自閉スペクトラム症、ASD)

コミュニケーションの障害、社会性の障害、パターン化した行動、興味や関心のかたよりなどの特徴があります。相手の気持ちを察することが難しいことから、その場の空気を読むことを苦手とします。たとえば、本人の話したいことばかりを話してしまい、周囲を困惑させてしまいます。一方で本人の好きな話題では深い知識を持っていて周囲から感心されることも良くあります。

注意欠陥・多動症(ADHD)

注意欠陥・多動症(ADHD)

集中できない不注意や、じっとしていられない多動、考えるよりも先に動く衝動性を特徴とします。たとえば大切な仕事の約束をすっぽかしたり、大事な書類を置き忘れたりして周囲の人からは仕事ができない人と誤解されることがあります。一方で新しいことに次々と挑戦できたり、持ち前の決断力で物事をてきぱきと判断できたりします。

注意欠陥・多動症(ADHD)には
治療薬があります

発達障害の治療はひとりひとりの特性に基づいて生活環境や社会環境を整えることに重点が置かれていますが、環境調整を行った上で改善しない場合に、お薬での治療が検討されます。成人のADHDの治療薬はアトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)、メチルフェニデート(コンサータ)があります。当院で使用できる薬剤はアトモキセチン(ストラテラ)、グアンファシン(インチュニブ)になります。
ADHDの症状には神経伝達物質(脳細胞の情報を伝える物質)であるノルアドレナリンとドパミンが関係していることがわかっています。お薬は、脳がこれらの物質を適切に利用しやすくするのに役立ち、ADHDの症状を改善します。

発達障害の検査

診察でご本人やご家族から、現在のお悩みや幼少期から現在までの生活についてのさまざまな情報を伺います。特に大切なのがご本人の幼少期の様子をお伺いすることです。このためご本人の主たる養育者(一般的には母親)の同席をお願いすることがあります。その中で発達、発育の特性や障害の程度、日常生活や仕事への影響などを確認します。セルフチェックの結果も参考にします。これらの情報を整理したうえで、診断の補助的な材料として心理検査が必要と判断された場合には、連携する医療機関で心理検査を受けて頂きます。
発達障害の特性を持っていても、周囲のサポートや配慮があれば問題なく生活できる場合もあるため、周囲がご本人の特性をどれだけ理解しているか、周囲のサポートがどのようなものかなども診断と治療には欠かせない情報です。
問診では、これらのことを覚えていなかったり、うまく伝えられなかったりすることもあるでしょう。ご本人のお悩みやこれまでの経過をメモしたものや、母子手帳や小学校の通知表などをお持ちいただくと、診断の際に役立ちます。

発達障害の治療

発達障害の治療本人の特性に基づいて生活環境や社会環境を整えることが基本的な治療方針となります。注意欠陥・多動症(ADHD)ではその特性に対してお薬での治療を行うことがあります。発達障害の方たちは生まれ持った特性のために、たとえばコミュニケーションの難しさから対人関係で悩みを持ったり、不注意により業務上のミスをしてしまったりすることで、周囲の人では感じないような場面でストレスを感じることが少なくありません。その結果として、孤独感や自尊心の低下を招き、抑うつ気分、不安、睡眠障害、イライラ感、幻聴、興奮、他者に対する敵意などの症状がでることがあります。これらを発達障害から二次的に生じたという意味で二次障害といいます。二次障害は正式な診断名や医学用語ではないため使用には留意が必要です。二次障害についてはお薬での治療で効果が見込めます。場合によっては適応障害、うつ病、不眠症などの診断となることがありますが、表在化した問題のみに焦点をあてることでは根本的な解決にならないことも少なくありません。本人の特性に基づき、二次障害がどのように生じてきたか丁寧に問診することでその因果関係を考えていきます。

二次障害に対する治療

発達障害の二次障害によってさまざまな精神症状が現れている場合は、その症状に応じた治療薬を処方します。
寝つきが悪い場合は睡眠薬を、うつ症状や不安症状にはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ薬や抗不安薬を、興奮、幻聴、他者に対する敵意などにはドパミンの働きを抑えるお薬を使用します。
二次障害による症状が強い場合には、心理教育やスキルトレーニング は難しいかもしれません。その場合、まずはお薬で二次障害の症状を落ち着かせてから、生活をしやすくするための治療を始めるのが一般的です。

大人の発達障害に対する支援

医療費の助成・減免

自立支援を申請することで、診察料やお薬代などの医療費がすべて1割負担になります。
当院は自立支援医療機関の指定であり、精神保健指定医の資格を持つ医師が診察を担当しているため、診断書の作成から制度の利用までが可能です。

職場の調整

発達障害の患者さまは、仕事上の単純ミスや物忘れ、コミュニケーション不全などから業務に支障をきたし、結果として不安障害やうつ病を発症することもあります。当院はそのような場合、診断書を作成し、会社に対して配置転換や業務内容の見直しを提案します。場合によっては、休業診断書の作成も行います。

就職(転職)

心理検査や性格検査をもとに、個人の特性に応じた対人関係の築き方、コミュニケーション能力の指導、自己分析などを行い、関係機関と連携して就労支援を行います。また、自信喪失や自己否定、不安などが強い場合は、並行して専門の心理療法士によるカウンセリングや認知行動療法を行い、症状の改善を図っていきます。心理検査や心理療法士によるカウンセリングが必要な場合には適切な医療機関をご紹介いたします。

精神障害者保健福祉手帳
(障害者雇用)

現在、障害者手帳には身体、知的、精神の3種類があります。発達障害専用の障害者手帳というものはありません。ただし、知的障害のある発達障害の場合は療育手帳、知的障害のない場合は精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。
手帳は初診から6ヶ月以上経過してから申請が可能になります。当院では、発達障害により日常生活や社会生活に支障があると判断された場合、手帳申請のための診断書を作成します(発達障害と診断されても、社会生活に支障がない、または障害が軽度の場合は手帳が発行されないこともあります)。発達障害のため、一般就労が難しい患者さまの多くは障害者枠での就労を希望されています。

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