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「うつ病の人にやってはいけないこと」
~励ますことは絶対にしてはいけない?~

うつ病になると

うつ病になると気持ちが落ち込み、自分を大切に思う気持ちがなくなります。取るに足らないちっぽけな存在だと考えてしまいます。自尊心が低下して、価値がない存在だと思い込み、自信がなくなります。また、頭の回転がにぶくなり、物事を判断する力や解決する力がなくなってきます。場合によっては、「大変なことになってしまった」「もうどうすることもできない」と絶望感に打ちひしがれてしまい、必要以上に自分で自分を責めてしまいます。また、うつ病になると、体がだるくなり疲れやすく重く感じて、動こうとしても体がついてこないなど、こころの症状だけではなく体の症状もでてきます。

うつ病の人にやってはいけないこと

特に病気の初めには「やればできる」とか「頑張ればできる」など、やみくもに、ご本人を元気付けようとしたり、励ましたりすることは控えるようにした方がいいとされています。なぜなら、うつ病の渦中(かちゅう)にいるご本人は頑張りたいと思っていても頑張ることができず、早く日常を取り戻したいと考えていても、これができずに心底困り果てているからです。そのような状況で叱咤激励(しったげきれい)してしまうと、ご本人にとってさらなる負担となり、焦りの感情が強くなったり、「なぜ自分は他の人と比べて何もできなくなってしまったのだろう」と否定的な気持ちを強めてしまうことにつながり、ますますご本人を追い詰めてしまうからです。これにより病状が良くならないばかりか、逆に悪くなる可能性があるからです。

励ますことは絶対にしてはいけない?

うつ病の病状が改善してくれば少しずつ、物事に取り組むことができ始めてきます。この時期には、周囲の人がそのきっかけを作ってあげたり、本人の意欲やモチベーションをあと押ししてあげるという意味での励ましのお言葉が、さらなる病状の改善につながることもあります。徐々に良くなり始める時期を回復期といいますが、この時期には、少しずつ日々の生活を取り戻していく準備や、普段の生活に慣れるために無理のない範囲でストレス負荷を少しずつかけていくことは、むしろ必要になってきます。
また、病気の時期だけでなく、ご本人と支援者との普段の関係性によって「頑張れ」と励ますことが一概にやってはいけないこととはいえない場合もあります。ご本人の病状を適切に把握し、ご本人が安心できるお声がけを日常的に行っているご家族や、ご本人との信頼関係が成り立っている支援者からの適度な励ましのお言葉は、むしろ有効な場合もあります。たとえば、睡眠と覚醒のリズムが整い始め、食欲が出始めて、体を動かす時間がそれなりに取れ始めた時に「少し頑張って一緒に散歩でもしてみようか」など本人の様子をみながら共感的な態度で、徐々に活動を促すなどです。外に出るのがまだ難しい場合には、室内でご本人のできることや、ご本人がもともと好きだった趣味や活動を促すのも良いでしょう。

励ますのが有効なことも

「頑張れ」と励ますことが、うつ病の人にやってはいけないこと、と広く知られている傾向がありますが、うつ病の病状が病気の初めなのか、徐々に良くなっている時期なのかにより一概にやってはいけないことではないのです。また、ご本人と支援者との関係性により共感的な態度を持ちつつ適度に励ますことで意欲を改善することができたり、モチベーションを持つきっかけになることもあるなど、うつ病の回復には適度に励ますことがむしろ有効な場合もありうるため、ご家族などの支援者はこれを念頭において本人との関わりを持つことは大切です。

本人を否定しない

その他にもうつ病の人にやってはいけないこととして、「気持ちが弱い本人のせいだ」とか「やる気のない本人に原因がある」など、ご本人の人間性や素質を否定するようなお声がけは控えていただきたいと考えています。ただでさえ、うつ病の方はご自身を大切に思う気持ちがなくなってしまっています。うつ病の方は自分自身が取るに足らないちっぽけな存在だと考えてしまっています。このように自尊心が低下して、価値がない存在だと思い込み、自信がなくなっている中で、かさねて周囲の人がご本人を否定してしまうと、ご本人をさらに追い込むことにも繋がりかねないからです。

人生の大きな決断はしない

その他に、うつ病の人にやってはいけないこととして、病状の渦中にいる時には人生における大きな決断はさせないようにするということがあげられます。すなわち、ご本人にとって大きな決断はできるだけ先送りにするよう周囲の方がお声がけをしていくこと、が良いこととされています。これは、うつ病に限ったことではなく、身体的な病気や精神科・心療内科のその他の病気にもあてはまることでもあります。
特にうつ病では頭の回転がにぶくなり、物事を判断する力や解決する力がなくなってきます。気持ちはネガティブになり、後ろ向きな考えが強くなります。これはその方の本来の思考力や判断力を弱らせ、うつ病でなければ決断しなかったであろうことを、ご本人は否定的な未来を想像してしまうがゆえに決断してしまいがちになります。ご本人の人生に大きな影響をあたえるような決断をしてしまうと、うつ病が改善してきたときに、ご本人自身が強く後悔してしまうことがあるからです。
たとえば、お仕事をしている方であれば、仕事のプロジェクトが自分のせいでうまく進まず会社や同僚に迷惑をかけたと思い込み、責任を取らなければならないと過度に自責的になり突然辞表を提出したり、家庭では、おれが不甲斐ないから妻や子供たちに迷惑をかけたと突然自宅を出て危険な場所を彷徨ったりなどです。思考力や判断力が低下したり、ネガティブな気持ちや後ろ向きな考えは、病状が良くなってくればそれにともない少しずつ改善してきます。これらの改善をしっかり待ったうえで、先を見据える力や判断力が備わってきてから、その問題とどう向き合っていくかを共に考えていくことが良いとされています。

うつ病の方を支援するご家族へ

これまで、うつ病の人にやってはいけないことについて代表的なものをあげてきましたが、そのほかに、うつ病の患者さまと一緒に過ごすご家族や支援者はどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。まずは、うつ病という病気の特徴を知り、理解することが大切です。うつ病に限らずこころの病気は基本的には症状が目に見えないため、周囲の人はご本人のつらさを、汲み取ることでしか分かることができません。その認識を深めるためにもご本人と向き合う時に、前もって病気の特徴を知ることで、よりご本人の病状やつらさへの共感をすることができます。

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