焦燥感とは

焦燥感とは、焦りと不安が入り混じった、イライラと落ち着きのない状態をいいます。
焦燥という漢字は焦りや苛立ちを示しますが、実態としては「物事が思い通りに進まないことに強い苛立ちを感じる状態」という意味があります。
焦燥感に駆られると、焦げ付くようなヒリヒリ感、集中力の低下、ミスの増加、衝動的な行動をとり後々に後悔してしまうなど日常生活に支障をきたすことが多くなります。
また、焦燥感による不安でストレスが溜まると、自律神経が乱れ、心身の不調を引き起こすこともあります。まずは焦燥感の原因を特定して、対策を取ることが大切です。

焦燥感の原因

焦燥感はさまざまなこころの不調によって引き起こされます。以下に代表的なものを挙げます。

うつ病

うつ病になると、落ち着きがなくなったり不安になったりします。これが焦燥感を引き起こすことがあります。
焦燥感が強く表れている場合は、行動に異常がみられることがあり、最悪の場合には自殺に繋がってしまうので早めの対応が必要です。

全般性不安障害

全般性不安障害では、原因がないにもかかわらずさまざまな心配事が不吉な予感と共に不安となって現れて日常生活に影響がでるものです。不安と焦燥感が同時に生じることが多いとされています。

統合失調症

焦燥感は、統合失調症の症状として現れることがあります。統合失調症は、幻覚や妄想の他に、不安や焦燥感も良くみられる症状です。思考と行動がまとまらず、物事に集中することが難しくなり、落ち着きのなさが出る場合もあります。統合失調症の治療薬の中には、気持ちがそわそわして焦燥感に似た副作用がでるものもあります。

その他

更年期障害や内分泌疾患も焦燥感を引き起こすことがあります。これは、ホルモンバランスが自律神経に影響するためです。また焦燥感は、アルコール依存症の離脱症状や薬物中毒にも関連している場合があります。

焦燥感を伴う落ち着きのなさの原因

焦燥感に落ち着きのなさが伴う場合、次のような病気も考えられます。

更年期障害

適応障害（適応反応症）

適応障害とは、ご自身を取りまく社会的な状況にうまく適応できない状態をいいます。異動や転勤、転職など、環境が大きく変わることによるストレスに対処できず、必要以上に焦ったり不安になったりすることがあります。行動面の症状として向こう見ずな運転や喧嘩っ早くなるなどの落ち着きのなさが出る場合もあります。日常生活に大きく影響する場合は、1人で抱え込まず、早期に適切な治療を受けることをお勧めしています。

強迫性障害

睡眠障害

睡眠障害は不眠症やその他の病気からくるものなどさまざまです。1日24時間のリズムと体内時計のリズムの違いに体が対応できず、生活時間がずれてしまうこともあります。どの状態においても、睡眠の質が低下することで、日中にやるべきことができなくなり焦燥感に駆られる場合があります。睡眠の質を改善することで、こころの健康を保つことに繋がります。

うつ病

うつ病になると、不安や焦燥感を生じイライラ感が強くなることがあります。集中力が低下し、物事を冷静に処理することが難しくなる場合があります。また焦燥感が強まると、目的もなく室内をうろうろするなどの落ち着きのなさが生じることがあります。焦燥感の強いうつ病は自殺の危険性があるため注意が必要です。一刻も早い医療機関の受診が推奨されます。

注意欠陥・多動症（ADHD）

注意欠陥・多動症（ADHD）は、発達障害の１つで、集中力がなく、じっとしていることが困難な症状がでます。明確な原因は不明で、脳機能の発達にかかわる生まれつきの特性と考えられています。幼児期から学童期に発見されることが多く、少し変わった子といった性格的特徴として見過ごされてしまうこともあります。近年では、成人して、社会に出てから上手く適応できず、診断されることも増えてきています。当院では18歳以上の方を対象に、環境調整やお薬を使った治療を行っています。