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「お酒とこころの病気」
~お酒とうつ病、躁うつ病、不安障害、不眠症~

お酒と こころの関係

お酒は嗜好品に位置づけられており、適度な飲酒であれば社交の場でコミュニケーションを円滑にしたり、お祝いの席を盛り上げたり、気分転換をもたらしたりする効果があります。そのため、お酒の好きな方たちにとっては飲酒で得られるメリットは多くあります。しかしながら、お酒には精神的な依存と、身体的な依存作用があることが分かっており、これにより飲酒を続けると本人が気付かないままにアルコール依存症となってしまうことがあります。精神的な依存とは、お酒が飲みたくなる欲求が強まることで、身体的な依存とは、お酒が切れると手が震えたり、汗が出たり、イライラしたりすることです。これらの症状がでるとその症状を満たすため、止めるために再び飲酒する悪循環になってしまいます。「仕事帰りに毎日飲んで帰宅する」、「飲まないと眠れない」、「検診で引っかかったけどつい飲んでしまう」、「酔いつぶれるまで飲んでしまう」など思い当たる方は注意されてください。また、うつ病、躁うつ病、不安障害、不眠症などの、こころ病気とお酒の関係は深く、飲酒習慣のある方がうつ状態になることや、反対に、うつ病、躁うつ病、不安障害、不眠症の方がつらい気持ちを紛らわすために飲酒をはじめ、それが習慣化することもあります。お酒は自殺とも強い関係があり、自殺した方のうち3分の1が酔っ払った状態で自殺していることが分かっています。

アルコール依存症と こころの病気

適度な量であればこころの病気に影響を与えることはないとされていますが、アルコール依存状態になると、こころの病気との関係が深くなります。 アルコール依存症ではうつ病になるリスクが依存症でない人とくらべて約3倍、躁うつ病になるリスクが約6倍になることが報告されています。また、不安障害(社会不安障害)ではアルコール依存症になるリスクが約3倍に高まるとされています。それではなぜ、うつ病、躁うつ病、不安障害とアルコール依存症が同時におこるのでしょうか。

ストレス・性格・遺伝因子などが共通している

日常生活のストレスを原因として憂うつな気分となり、これが原因でうつ病や躁うつ病の、うつ状態になることがあります。同じようにアルコール依存症となる原因も日頃溜まったストレスを発散しようとして飲酒をはじめ、次第に飲酒が習慣化しアルコール依存状態となることがあります。また遺伝的な素因や性格も、うつ病や躁うつ病とアルコール依存症の関連性があるとされています。特に、躁うつ病とアルコール依存症は同じ家系内で発生する頻度が多いことが分かっています。

つらさを紛らわせるために飲酒

うつ病や、躁うつ病、不安障害、不眠症などのこころの病気を抱えている方は、そのつらさをご本人で緩和しようとしてお酒を飲むことがあります。これによりお酒を飲む習慣がついてしまうとアルコールの特性上、次第にその量が増えてしまい依存状態となることがあります。

お酒とメンタルヘルス

実際にアルコールには気分を高揚させる効果がありますが、実はそれは一時的なものです。飲み過ぎて街中で潰れている方を見て分かるように、その後は反対に気分が下がってきます。不安を解消しようとお酒を飲むと、酔っぱらうことで一時的に不安は解消されますが、アルコール依存状態ではお酒が体から抜ける過程で、逆に不安や焦りを生むことがあります。飲酒は不安の対象となる問題から目を背けるだけで、根本的な解決にはなりません。また、不眠を改善しようと飲酒すると、お酒で寝つきは良くなることはあるものの、睡眠の質を低下させてしまったり、尿意を感じてしばしばお手洗いに起きてしまうことになり、結果として浅い眠りになってしまいます。

長期の大量飲酒がうつ状態を引き起こした場合

アルコールを長期間、大量に摂取すると憂うつな気分が強まり、不安感が強くなることが分かっています。その後、アルコールを中止すると憂うつな気分や不安などのうつ状態は改善したという報告があります。長期にわたる大量のアルコールの摂取が脳の機能に影響をあたえ、うつ状態を引き起こすことがあります。

アルコールの離脱症状によるうつ状態

アルコール依存症では脳の機能が変化してアルコールが体内にあることが正常であると認識してしまい、アルコールがなくなると神経の情報伝達のバランスが崩れてしまいます。このため、お酒が体内から抜けていく過程で、憂うつな気分を引き起こすことがあります。このほか離脱症状として、不安、焦燥、イライラ感、幻覚や妄想、興奮などのこころの症状と、手の震え、発汗、発熱、吐き気、動悸、下痢、けいれん発作などの体の症状もみられます。これらの離脱症状を不快に感じてさらにお酒を飲み続けることになってしまいます。

アルコール依存症と自殺について

アルコール依存症の方の自殺率はうつ病と同じように高く、アルコール依存症とうつ病の併存は自殺のリスクが高くなることが示唆されています。こころの病気の中では、うつ病や躁うつ病などの気分障害とアルコール依存症が自殺を企てる方が多く注意が必要です。

アルコール依存症の症状

つぎの症状がある場合にはアルコール依存症の可能性があります。お近くの精神科・心療内科の専門医に相談しましょう。

  • お酒の量が以前より多くなった
  • 同じ量では以前ほど酔わなくなった
  • お酒が欲しくなる
  • お酒をやめると頭痛、汗、手の震え、不安、不眠、イライラなどがでる
  • 健康を害していると分かっているけど飲んでしまう
  • 大切な予定があるにも関わらず酒を飲み始めてしまう

お酒と上手く付き合うためには

それではお酒と上手く付き合うために、どのようなことに気を付ければよいでしょうか。「適度な飲酒量を知る」、「ストレスを知る」、「飲酒以外のストレス解消法をもつ」、「こころの不調をお酒で解決しない」、などがあげられます。

適度な飲酒量を知る

長期的に大量のアルコールを摂取すると、誰でもアルコール依存状態になってしまいます。アルコールの特性を知り、適度な飲酒量を守りましょう。現在の飲酒量が多い場合には少しずつ減らすことを目標にがんばっていきましょう。

適度な飲酒量は?

厚生労働省によると適度な飲酒は1日平均純アルコールで約20gとされており、ビールで500ml、日本酒で1合(180ml)、ワインでグラス1杯(120ml)ほどとされています。お酒に弱い体質の方、高齢者、女性は更に少ない量が望ましいとされています。また、日ごろから飲酒習慣のない方にこの量を勧めるものではないとの補足がなされています。

ストレスを知る

飲酒が習慣化する原因のひとつにストレスがあると言われています。まずは、ご本人にとってストレスはなにか?を知ることが大切です。ストレス因子を明確にして、それを認めたうえで、どう対処していけばよいか深く考えるきっかけをつかみましょう。

飲酒以外のストレス解消方法をもつ

日々のストレスを解消する対処法をできるだけ多く持っておきましょう。ジョギングやウォーキング、ストレッチ、筋トレ、ヨガなどの運動習慣を取り入れたり、音楽鑑賞や読書、映画鑑賞なども良いでしょう。友達と談笑してリフレッシュしたり、時には悩みを聞いてもらうのも効果的です。

こころの不調をお酒で解決しない

アルコールは身体的、精神的な依存を作りだしてしまう可能性のある物質です。お酒に酔いやすい人、お酒に強い人がいることから分かるように、体内に摂取されたアルコールの分解には大きな個人差があります。飲酒により一時的に不安や、抑うつを解消することができるかもしれませんが、その効果を適切に保つことはできません。

お酒とメンタルヘルス

お酒は大昔に独自の技法で偶然発見された嗜好品です。お酒で気持ちのつらさを紛らわせずに、こころの不調は精神科・心療内科の専門医に相談しましょう。科学的な根拠に基づいて生成されたお薬は、安全にかつ効果的に、こころの不調を緩和することができます。

「お酒とこころの病気」まとめ

お酒は適度であれば社交の場でコミュニケーションを円滑にしたり、気分転換をもたらしたりする効果があります。しかしながら長期的に多くのアルコールを摂取すると依存を形成する可能性があります。依存とならないために、まずは適度なお酒の量を知ることが大切です。こころの病気とアルコール依存症の関係は深く、うつ病、躁うつ病、不安障害、不眠症などを併存することがあります。こころの病気の症状を紛らわすための飲酒は控えるようにして、症状にお悩みの場合は、お近くの精神科・心療内科の専門医に相談しましょう。

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