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「仕事でのストレス」
~職業性ストレスの考え方 NIOSHモデル~

職業性ストレス(仕事でのストレス)について

前回は職業性ストレスについてDCSモデルを引用してお伝えしました。DCSモデルでは、職場環境においてストレスを規定する要因は「仕事の要求度」「仕事の自由度(裁量度)」「仕事の支援」の3つの指標から成り立っています。
このモデルから作られた「職業性ストレス簡易調査票」を用いた厚生労働省の2023年の調査結果によると、現在の仕事で「強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある」と回答した労働者の割合は80%以上にのぼることが分かりました。職業性ストレスを緩和し、ストレス負荷が高い状態から、メンタルヘルスを崩さないためには、職場環境での仕事の「要求度」「裁量度」「支援」の指標に留意することは大切です。

しかしながら、そもそも仕事の要求度を下げることは一般的に難しいとされています。これらの指標をご本人でマネージメントできる方もいれば、そうでない方もいらっしゃるでしょう。それでは、他になにかできることはあるのでしょうか。この答えのヒントとなる考え方をNIOSHの職業性ストレスモデルを用いてお伝えします。

NIOSH職業性ストレスモデルとは

DCSモデルよりもさらに複雑に職業性ストレスを分析したものになります。NIOSHの職業性ストレスモデルによると、職業性ストレスによるストレス反応は、「仕事のストレス要因」に、「個人的要因」、「仕事以外の要因」、「緩衝要因」が相まってその反応を引き起こし、それによりストレス性のメンタルヘルスの障害につながるという道筋を示しています。「仕事上のストレス要因により、ストレス反応を生じ、その後ストレスに関連した疾病がおこる」という因果関係を、ストレス要因の発生からメンタル不調に至るまでの流れをモデル化したものです。この中で、個人の性格や価値観、属性などの「個人的要因」と、子育てや介護などの家族内での役割の「仕事以外の要因」、そして上司、同僚、家族からの社会的なサポートなどの「(ストレス)緩衝要因」が、その結果に影響を与えるとしています。特定の業種だけでなく、より一般的な職業に対応できる包括的なモデルと考えられています。

NIOSH職業性ストレスモデルの提唱の由来

米国国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health:NIOSH)のHurrell氏とMcLaney氏が1988年に作成したモデルで、現代でも職業性ストレスを考える上で大切な概念とされています。労働におけるストレスが労働者の心理面、生理面、行動面での反応を引き起こし、それが長期間続くと心理的、身体的に健康に影響を及ぼすことを提唱しました。

 

それではNIOSH職業性ストレスモデルの「仕事のストレス要因」、「個人的要因」、「仕事以外の要因」、「緩衝要因」について、それぞれをみていきましょう。

「仕事のストレス要因」

まずは職業性ストレスの発端となる仕事のストレス要因です。このモデルでは以下の要因を挙げています。

  • 暑熱や騒音などの物理的な職場の環境
  • 業務上での役割の葛藤
  • 業務上での役割のあいまいさ
  • 対人責任性
  • 仕事の将来不安
  • 仕事の自由度
  • 仕事量の多さ
  • 仕事量のばらつき
  • 雇用の平等性
  • 能力が活用できない環境
  • 早番遅番や夜勤などシフトワーク

「個人的要因」

個人的要因では以下の項目が挙げられています。このモデルでいうtype Aの性格は几帳面で、責任感が強く、熱心で、挑戦的な性格とされています。

  • 年齢
  • 性別
  • 婚姻
  • 勤続年数
  • 職種、肩書
  • 精神状態
  • 自尊心の高さ
  • 性格(type A)

「仕事以外の要因」

仕事以外の要因では主に家庭内での役割が挙げられています。親戚付き合いや交友関係も含まれるとされます。

  • 家事や育児
  • 介護

「緩衝要因」

DCSモデルの「支援」と重なるものがありますが、職場内の支援だけではなく、家庭内、友人などの支援が緩衝要因として挙げられています。

  • 家族からの支援
  • 友人からの支援
  • 上司からの支援
  • 同僚からの支援

結果としてストレス反応が生じる

「仕事のストレス要因」を発端として、これに個人としての属性や性格などの「個人的要因」や、家事や育児、介護などの家庭内の役割の「仕事以外の要因」でストレスが付加、修飾されます。一方で、家族や同僚からの支援の「緩衝要因」でストレスは緩和されるとされています。これらの職業性ストレスへの付加、修飾、緩和の過程を経て、まず次に挙げた急性のストレス反応を引き起こします。ストレス反応は心理面、身体面、行動面での変化がでます。このストレスが長期間にわたると、ストレスに関連した疾病がおこるとされています。

心理面、身体面、行動面でのストレス反応

  • 抑うつ
  • 不安感、緊張感
  • 意欲や集中力の低下
  • 億劫な感じ
  • イライラ感
  • 怒りっぽくなる
  • 頭痛、肩こり
  • めまい、ふらつき
  • 吐気、動悸
  • 喉の閉塞感、呼吸困難感
  • 不眠
  • 食欲不振
  • 疲れやすい
  • 遅刻、早退が増える
  • アルコール量の増加
  • たばこの増加
  • ギャンブルへの依存、買い物への依存

NIOSH職業性ストレスモデル まとめ

このようにNIOSHの職業性ストレスモデルは、「仕事のストレス要因」に「個人的要因」、「仕事以外の要因」、「緩衝要因」が関係してストレス反応を引き起こすとしています。

例えば、働き世代の年齢で仕事への責任感が強い「個人的要因」がある方は、職場では第一線の担い手となり過重労働になりがちで、これに家庭での育児や家事の「職場以外での要因」が重なると、結果としてストレス反応を起こしやすいということです。職業性ストレスはその名の通りストレス要因は職場内で起こりますが、家庭での支援などの「緩衝要因」があればストレス反応は起こしにくいと捉えることができます。個々の状況に応じて、これらの要因について整理して考えることでより健全なメンタルヘルスを保つことのヒントになります。

当院では働く方のメンタルヘルスにも力を入れています。職場でのストレスでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

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