ストレスとは?
ストレスとは、心身にかかる負担のことをいいます。適度なストレスは人生の活力にもなりますが、負担が大きすぎると心身ともに不安定になります。
普段の生活の中で思いもよらないことが他者への負担となることや、ご自身でも何がストレスの要因になっているか、はっきりと分からないことがあります。まずはストレスをある程度明確に認識することが大切です。その上で健康的な生活を送るために、ストレスとうまく付き合う方法を見つけることが重要です。
程良いストレスは必要
ストレスは心身に負担をかけます。ストレスはマイナス面ばかりが強調されがちですが、人間にとってストレスは必要なものでもあります。たとえば、筋肉が発達するためにはストレス負荷が必要であり、骨が強く硬くなるためにもストレスをかけることは必要です。こころがストレスを受けると交感神経が優位になり、判断力や行動力が向上します。
適度なストレスは、私たちの体を維持するためにも欠かせない要素です。
過剰なストレスは心身への悪影響も
適度なストレスは必要なものでもありますが、ストレスが過剰になると心身ともに負担がかかってしまいます。ストレスによって脳が限界に達すると、自律神経のバランスが乱れ、心身に不調をきたします。つまり、ストレスはあくまでご自身にとって適切な範囲のものであることが重要です。
ストレスが限界に達すると現れる症状
ストレスが限界に達する状況として、それまでは適度であったストレスが急に過度なストレスに変わる段階と、過度なストレスが継続してかかり続けることで最終的に限界を迎える状況があります。ストレスが限界に達した時にでる症状は、主にこころの症状とからだの症状の2つに分けられます。
こころの症状
- 抑うつ
- 怒りっぽくなる、苛立ち
- 意欲の衰え
- 集中力の低下と注意散漫
- 以前は楽しめていたことが楽しく感じられない
- 理由もなく悲しくなったり、
涙が止まらなくなったりする - 何度も悪い結果を想像してしまう
- 考えがまとまらない、
何一つまともに考えられない - 何をやってもうまくいくはずがないだろうと
悲観的になる - 重要な決断をしたくない、またはできない
- 自尊心が低く、自罰的
- 自分自身を無価値だと考える傾向がある
など
からだの症状
- 睡眠障害
(寝つきが悪い、または睡眠時間が長すぎる) - 食欲不振、または逆に
食べ過ぎたり飲み過ぎたりする - 疲労感、全身の倦怠感
- 頭痛、めまい
- 肩こり、首こり、腰痛
- 発熱
- 動悸、息切れ
- 腹痛、便秘、下痢、便秘と下痢を交互に繰り返
など
ストレスが原因で起こる病気とは?
ストレスが主な原因となる代表的な病気には、次のようなものがあります。
自律神経失調症
自律神経失調症は、ストレスによって自律神経のバランスが崩れることで発症します。頭痛、動悸、息切れ、倦怠感、不眠、食思不振などの身体的な症状と、情緒不安定、イライラなどの精神的な症状を引き起こします。自律神経のバランスを整えるためにお薬での治療も行いますが、生活習慣の改善によってストレスを軽減することも大切です。
うつ病
うつ病は、ストレスなどが原因で脳内の精神伝達物質のバランスが崩れ、抑うつ気分を中心としたさまざまな心身の症状が現れる病気です。患者さまは気分が沈んだり、何もやる気が起きなかったり、眠れなくなったりする他にも、不安や焦燥感を抱くこともあります。症状が重くなると意欲の低下や倦怠感から外出が困難になってしまうこともあります。まずは心身ともに休養を促し、同時にお薬による治療や精神療法を行っていきます。
パニック障害(広場恐怖症)
ストレスで自律神経が不調になると、不意に急激な不安感に駆られ、動悸、息切れ、めまいなど、生活に支障をきたすほどの激しい発作に襲われます。発作が繰り返されることへの恐怖から、発作が起こった状況や場所を次第に避けるようになってしまいます。これにより徐々に行動範囲が狭くなり、ついには部屋から出られなくなる場合もあります。不安を軽減するお薬での治療や、発作の引き金となる不安をコントロールする精神療法、行動療法を行います。
適応障害(適応反応症)
日常生活の中でストレスが生じた際に、ストレスを適切に処理できなかったり、ストレスに上手く適応できなかったりすることで、不安、憂うつ、不眠、イライラ感、動悸、食思不振、頭痛などのさまざまな心身の症状が生じた状態です。
誘因としては、職場での人間関係やハラスメントによるストレス、転勤、異動、転職、転校、クラス替えなどの環境の変化からくるストレス、育児や家事のストレス、これらの他には自然災害や交通事故などの予期できない出来事なども挙げられます。
アルコール依存症
ストレスを解消するために飲酒が習慣となり、長期間にわたって過度の飲酒を続けると、アルコール依存症になる可能性があります。飲まないと手が震える、気分が悪くなるなどの症状が現れるようになります。いろいろな問題をお一人で抱え込んだり、ストレスを溜め込んだりする傾向のある方はアルコール依存症になりやすいとされています。
アルコール依存症は、最終的には身体的な健康が損なわれるだけでなく、社会的な信頼や家族関係も失うことがあるため注意が必要です。
ストレスと上手に付き合う方法
よく眠り、よく休む
日中は交感神経が優位になっています。この時間帯は活動的に過ごし、日光を浴びることが大切です。夜は副交感神経が優位になるため、夕食後はゆっくり休み、入浴などでリラックスをしてから寝ることが大切です。寝酒は安眠の妨げになり、就寝前のスマートフォンの使用は視神経を興奮させ、交感神経が優位になってしまいます。
休日も含めて食事や睡眠、起床の時間をある程度、規則正しく保つことも重要です。
栄養価の高い食事を
好きなものを中心にバランスよく食材をメニューに取り入れることで、満足感が得られてリラックス効果が得られます。この時に栄養のバランスにも注意すると心身ともにより健康に過ごせます。ビタミン、ミネラル、アミノ酸、脂肪酸などの必須栄養素をバランスよく取り入れるようにしましょう。栄養は良い身体作りにも大切ですが、特にアミノ酸やビタミンB群はセロトニンやドパミンの原料となるため、気分や情動の安定に良いとされています。
無理なく続けられる運動を取り入れる
過度に激しい運動は身体的なストレスの原因になってしまいますが、ご自身が楽しみながら取り組める範囲であればストレスの解消になります。日頃から運動習慣のない方は、無理なく続けられる運動として、ストレッチやスクワットなどに加え、適度な有酸素運動を取り入れることをお勧めします。たとえば、ウォーキングなどは気軽にできて続けやすいためお勧めです。コツコツ続けることが大切ですが、つらい時は無理をせず休むのも良いでしょう。
気心の知れた仲間と過ごす
リラックスした楽しい雰囲気の中で気を使わなくて良い方々と過ごすだけでも、ストレス解消には効果的です。時には悩みを仲間に相談してみるのも良いでしょう。気心の知れた仲間に悩みを話すだけでストレスが軽減され、気持ちが楽になることもあるため、具体的な悩みの解決方法までを求めなくてもストレスの軽減には効果があるとされています。
ストレスにうまく対処できないと感じたら、当院にご相談ください
ご自身では、「ストレス対策をしっかり行っているから万全だろう」と思っていても、実際にはストレスが強すぎてその対処が十分ではなかったり、解消されたと考えていても根深く残っていたりする場合があります。また「自分はまだ大丈夫だから、このまま頑張ろう」と思っていると、気づかぬうちにご自身の許容範囲を超えてしまいこころの病気になることもあります。ストレスにうまく対処できないと感じたら、心身のバランスを崩してしまう前に、早めの段階で当院にご相談ください。