仕事の人間関係がつらい方へ
仕事(職場)の人間関係がつらいと、転職あるいは休職などが頭をよぎる方も多いでしょう。実際ある調査では約8割の方が職場の人間関係に悩み、約5割が職場の人間関係が転職のきっかけになったと回答しています。
職場の労働環境が良くないとか人間関係が悪いという話は多く耳にする一方で、職場の環境や人間関係がとても良く、こんなに働きやすい職場は他にはないと言葉にしている方は少ないでしょう。
職場に従業員が数十人や数百人もいれば、さまざまな人たちが集まったひとつの集団になります。ひとりひとりの性格や考え方が異なるのが当然ですので、私たちは上手く人間関係を保ち、コミュニケーションを取ることでスムーズな社会生活を送ることが求められています。転職することは、確かに今の状態から抜け出す手っ取り早い手段ですが、人間関係が原因で転職した方は、次の職場も同様の理由で転職する傾向にあります。当院では、患者さまひとりひとりの根本にある問題と向き合い、職場だけでなく社会生活をよりスムーズに送るお手伝いをしていければと考えています。
仕事の人間関係で
ストレスをかかえる原因
仕事を一緒にするメンバーが決められている
上記でも述べましたが、職場ではさまざまな経歴や性格を持った方が集まっています。そのため、すべての方がご自身と同じ能力や考え方を持つわけではありません。ご自身に足りないところを補ってくれる人もいれば、ご自身が周囲のメンバーの欠けている箇所を補うこともあるでしょう。また、それぞれが持ち合わせていない知識やアイディアを寄せ合うことでより良い発想や商品が生まれることも多いでしょう。こうした状況を分かってはいても、うまくいかない原因として、会社では上司と部下、同僚という立場があることも一因でしょう。
苦手な人でもたまに話したり、付き合いがあったりする程度であれば問題ないことが多いと思います。しかし、決まったメンバーと毎日顔を合わせて同じプロジェクトで仕事を行うなど、長時間向き合わなければならない状況が生じることがあります。
コミュニケーションが上手く取れない
業務を円滑に進めるために、コミュニケーションを取ることは重要です。しかし、どんなにうまく説明しても話がかみ合わない方がいたり、上司からの指示が的確でないために必要以上の業務が生じたりするとストレスを感じてしまうことは想像に難くないでしょう。
コミュニケーションが上手く取れないと、お互いにとってストレスとなり、ご自身が実行したはずの業務内容が無駄に終わってしまう可能性があります
モチベーションに差がある
同じプロジェクト、作業を行う場合でも、そのプロジェクトあるいは作業に対するモチベーションはさまざまです。仕事に対する思いも違えば、一つ一つの作業に対するモチベーションも違います。熱量が高い人はそうでない人にストレスを生じ、その逆もあるでしょう。上司と部下、同僚同士のモチベーションに差があればあるほど、ストレスが高まりやすくなります。
人と比較してしまう
同じような仕事、作業を行うとつい人と比較してしまうこともあるでしょう。人と比較することで、「○○さんは良く褒められている」「○○さんは自分より仕事していないのに評価が高い」など思うこともあるでしょう。しかし視点を変えればご自身も他者から高い評価を受けていることもあります。人と比較することで思い込みにより自己嫌悪や嫉妬心が生まれ、ストレスに繋がりますので、なるべくご自身の励みとなる要素を取り入れるようにしましょう。
仕事の人間関係のトラブルから
生じる病気
うつ病
気分が落ち込んだり、不安になったり、何をしても楽しめない状態が2週間以上続くと、うつ病の可能性があります。うつ病は日常生活に支障をきたすほど、気分が落ち込んで憂うつになったり、やる気がなくなったりする病気です。うつ病はこころの症状だけでなく、食欲不振、睡眠障害、頭痛、腹痛、肩こりなどの体の症状となって現れることもあります。重症化すると、日常生活や社会生活、他者とのコミュニケーションに支障をきたすなど、さまざまな影響を及ぼす可能性があるため早期発見が重要です。
自律神経失調症
ストレスなどによって自律神経のバランスが崩れ、心身にさまざまな症状が現れる病気です。慢性的な疲労感、片頭痛、めまい、不安感、集中力の低下など、症状は人それぞれです。ストレス以外に不規則な生活習慣も自律神経のバランスを崩す原因となるため、食事や睡眠、運動習慣を見直すだけで症状が改善することがあります。
適応障害(適応反応症)
適応障害の症状はうつ病と似ていますが、適応障害の方が、よりストレスの影響を強く受けているため、仕事の人間関係の悩みなどのストレス因子が除去されると症状が速やかに改善するのが特徴です。ただし異動などの環境調整でストレス因子を除去し、いったん症状が改善しても、ご本人の適応力によっては異動先で再び仕事の人間関係で悩むなど同じ性質のストレス因子により症状が再び出現することがあります。適応障害の症状が慢性化するとうつ病に移行する場合もあるため要注意です。
仕事の人間関係を上手く保つコツ
全員と仲良くはあきらめる
上記でも述べましたが、職場にはさまざまな立場や価値観の人が集まっています。そのため、ご自身と合う人もいれば、そうでない人もいます。全員と合わせることや仲良くするということを考えるより、業務に支障のない範囲で適切な距離感を歩み寄ることをした方がスムーズな場合もあります。合わない人とは業務上差し支えない範囲で、「この人には好かれなくて良い」と割り切ると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
仕事と割り切る
仕事上でコミュニケーションを取ることは重要です。しかし、上記で述べた通り考えが違う人とすべてを理解し合うことは難しいこともあります。深く考えすぎるとストレス、疲労に繋がります。仕事は仕事と割り切り、仕事が上手く回るだけの関係を考えてみることも1つの手段かもしれません。
相手に求めるのではなく自分が変わる
仕事に限りませんが、相手(他者)の考え、行動を変えることは非常に難しいことです。相手に期待すればするほど、予定通りいかないとストレスが生じることでしょう。しかし、ご自身が変わる事はご自身の努力、考え方で可能です。また、ご自身の行動を変えることが相手の行動を変えることに繋がることもあります。まずはご自身が変わることで変化が起きるか見てみましょう。
人と比較しない
人と比較することは、嫉妬心や自己否定、自己嫌悪など悪影響に繋がりやすくなります。こうしたネガティブな考えを避けるためにも、まず自分は自分、人は人と考えて比較しないようにしましょう。比較するのであれば過去の自分と比較することをお勧めします。そこからどれくらい成長したかを考えることで、ポジティブな考えや気持ちになるでしょう。