情緒不安定である、
感情をコントロールできない
UNCONTROLLED EMOTIONS

Uncontrolled emotions

情緒不安定・感情を
コントロールできない方へ

情緒不安定・感情をコントロールできない方へ仕事(職場)で感情の波に飲まれ、ご自身の気持ちをコントロールできず、どうしたら良いかわからないとお悩みの方はいらっしゃいませんか。イライラや落ち込み、不安感が続くと自分を見失ってしまうこともあるでしょう。こうした症状が一時的な場合には問題はないですが、続く場合にはその背景にこころの病気が隠れていることがあります。当院では情緒の不安定性や感情をコントロールできない理由を患者さまのひとりひとりの状況に応じて考えていきます。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。

情緒不安定な時に見られる
症状(行動)

涙が止まらなくなる

情緒が不安定な時に、原因不明の涙が出てきて止まらない経験をされた方はいらっしゃると思います。理由もなく涙が出てきて止まらないのは、張り詰めていた気持ちや抱えきれない気持ちが限界となり、溢れだしたものと考えられます。ご自身ではその理由を認識していなくても、診察でその理由が明らかになることが多くあります。健康な方には見られない症状ですので、このような症状がある場合は当院をはじめとした精神科・心療内科専門のクリニックまでご相談ください。

小さなことにも苛立つ

普段は気にならないようなことに腹が立ったり、小さなことに苛立ったりします。その苛立つ気持ちを他者にぶつけてしまい、後で落ち込むこともあります。
もちろん、誰からみても苛立つような出来事に反応していれば、それは正常な感情ですが、情緒が不安定な時には些細な外部刺激に影響されてイライラが起こりやすくなることがあります。

衝動的な行動を取る

衝動的な行動を取ってしまうことは、情緒が不安定な時に多くみられる症状です。ご自身ではコントロールできない感情に駆り立てられることで、後先考えずに行動してしまいます。たとえば、向こう見ずな運転、喧嘩っ早くなる、乱費や浪費、過食、突然の自傷行為、大声での口論などが挙げられます。結果として重大な事故につながったり、人間関係の悪化を招いたりして、後々に後悔し自尊心の低下を招くことがあります。

気分や感情の浮き沈み

情緒が不安定な時は、気分や感情が大きく変動します。感情とは物事に対して抱く気持ちや印象のことで、快いか不快かを伴うような喜びと悲しみ、苦しさと楽しさ、愛と憎などの相反するものです。気分とは持続的な弱い感情を指し、これが変動すると憂鬱な気分や、不愉快な気分になったり、逆に気分が高揚したり、喜悦で愉快な気分になったりします。感情をコントロールすることが難しくなったり、気分が通常よりも変動していたりに気づいた場合は、情緒が不安定になっているかもしれません。

情緒不安定に隠れた病気

情緒が不安定な(感情をコントロールできない)状態は、一時的なストレスが溜まっていることや、単なる睡眠不足、心身の疲労などが原因となることもありますが、背景にこころの病気が潜んでいることがあります。以下は代表的な疾患になります。気になる症状がありましたらお早めにご相談ください。

うつ病

持続的な悲しみや興味の喪失を伴うこころの病気です。感情のコントロールが難しくなり、些細なことで悲観的になり、否定的な気持ちが生まれてきます。情緒が不安定になると、日常の些細な出来事にも大きく影響されてしまい困惑や焦燥感を伴うなど、さらに病状が悪化することがあります。治療は、まずはゆっくりと休める環境を用意し、休息をとることが大切です。同時にお薬を使った治療を行っていきます。

躁うつ病(双極性障害)

躁うつ病とは

躁うつ病(双極性障害)は、気分の極端な変動を特徴とするこころの病気です。異常に高揚した気分、過活動、過剰な自信がでる躁状態と、深い悲しみ、無気力、興味の喪失がでるうつ状態を繰り返します。気分の波と共に情緒が不安定になり、感情がコントロールできないことがしばしばみられます。躁状態とうつ状態が繰り返し波のように訪れるため、周囲は困惑し、社会生活や人間関係に大きな影響を与えることがあります。発症には遺伝的要因や環境要因が関与します。治療はお薬での治療や環境調整により休息をとることが効果的です。

パーソナリティ障害(BPD)

パーソナリティ障害は、感情の不安定さ、自己イメージの混乱、衝動的な行動を特徴とする疾患です。感情の起伏が激しく、短時間で気分が変わることが多く、特に対人関係の不安定さが特徴です。情緒の不安定は、怒り、空虚感、不安、抑うつ感など、さまざまな感情が一日に何度も変わることから生じます。

自律神経失調症

自律神経失調症は、自律神経系のバランスが崩れることによってさまざまな身体的および精神的症状が現れる状態です。過度のストレスや疲労、環境の変化が引き金で、情緒が不安定となり、感情のコントロールが激しくなることがあります。その他には過敏性、イライラ感、抑うつ感を経験することがあります。自律神経失調症の治療には、ストレス管理や生活習慣の改善、お薬での治療を行います。

適応障害(適応反応症)

適応障害は、環境の変化や特定のストレスに順応する過程の中で生じるこころの病気で、感情や行動に顕著な変化をもたらす疾患です。ストレスの影響で感情がコントロールできなくなり、情緒不安定、抑うつ、不安感、イライラ感がでることがあります。日常生活や対人関係に支障をきたすことで診断されます。治療は、本人が主体性を持って環境に順応できるように環境調整を行うことでまずはストレスを取り除きます。必要に応じてお薬での治療を行っていきます。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

PTSDは、過去に経験した深刻なトラウマ(たとえば、戦争、災害、暴力など)によって引き起こされるこころの病気です。トラウマを思い出させる出来事や状況に直面すると、強い不安や恐怖、フラッシュバックが引き起こされることがあり、これが情緒不安定の原因となることがあります。感情のコントロールが難しくなり、イライラや怒り、泣き出すなどの反応や、逆に感覚や感情が鈍くなることもあります。治療には、心理療法やお薬での治療を用います。

パニック障害(広場恐怖症)

パニック障害は、突然の強い恐怖や不安感に襲われるパニック発作を繰り返すこころの病気です。発作中は、心拍数の増加、発汗、震え、息切れなどの身体症状とともに、極度の不安感が生じます。繰り返されるパニック発作によって、常に不安を感じ、情緒不安定になってきます。パニック発作を避けるために行動が制限されることもあり、これがさらに情緒不安定を悪化させます。治療は、お薬での治療と行動療法を行います。

解離性障害(転換性障害)

解離性障害(転換性障害)は、ストレスやトラウマに対する反応として、記憶、意識、自己同一性の統合が失われるこころの病気です。突然、現実から切り離されてしまい、ご自身の行動を制御できなくなることがあります。特に解離性同一性障害(多重人格障害)では自我が形成される幼児期に本人の適応能力をはるかに超えた苦痛やトラウマを長期にわたり受け続けることで起こります。自我が形成される幼児期につらい経験を多くすると、情緒不安定や感情のコントロールが難しくなる原因となります。

アルコール使用障害

アルコール使用障害は、アルコールの過剰摂取によって引き起こされる身体的および精神的な問題を伴う依存症です。長期的なアルコール乱用は、脳の機能を変化させ、情緒不安定や感情のコントロールが難しくなります。また、アルコール依存状態になると、離脱症状としての不安や抑うつ、興奮や易怒性など急激な気分の変動が現れることもあります。

広汎性発達障害
(自閉スペクトラム症、ASD)

広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)は、社会的コミュニケーションや行動に特異なパターンを持つ発達障害です。ご自身の感情表出や周囲の感情を適切に読み取ることを不得手とし、情緒不安定を引き起こすことがあります。また、予測ができない場面で取り乱したり、感覚の過敏性が情緒不安定に繋がったりすることがあります。
当院では、18歳以上の広汎性発達障害(自閉スペクトラム症、ASD)の方に対し、より生活を送りやすくするためのアドバイスやお薬での治療を行っています。

注意欠陥・多動症(ADHD)

注意欠陥・多動症(ADHD)は、注意力の欠如、多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。感情の制御が難しく、些細なことでも過度に反応したり、感情の爆発を起こしたりします。また、急激な気分の変動や情緒の不安定さが日常生活や対人関係に影響を与えることもあります。ADHDの治療には、環境調整とお薬での治療があります。
当院では、18歳以上の注意欠陥・多動症の方に対し、より生活を送りやすくするためのアドバイスやお薬での治療を行っています。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群(PMS)は、月経開始前に見られる身体的および精神的な症状です。情緒不安定は、PMSの主な症状の1つであり、月経が始まる前に感情の起伏が激しくなることがあります。症状として、イライラ感、抑うつ感、情緒不安定、感情のコントロールが難しいことが挙げられ、これが日常生活や対人関係に影響を及ぼします。治療には、生活習慣の改善や月経開始前に抗うつ薬や漢方薬を使用します。

月経前不快気分障害(PMDD)

月経前不快気分障害(PMDD)は、PMSよりも重度の症状を持ち、月経周期の前に深刻な精神的および身体的な症状が現れる状態です。情緒不安定は、PMDDの主な特徴であり、感情的な不安定さ、強いイライラ、抑うつ感、急激な気分の変動が含まれます。これにより対人関係の悪化や引きこもりなど、社会生活に支障が現れます。これらの症状は月経が始まると軽減することが多く、治療には、生活習慣の改善や、お薬の治療として抗うつ薬を用います。

睡眠不足

睡眠不足でも情緒不安定となり、感情のコントロールが難しくなることがあります。睡眠不足の原因は、不規則な生活、ストレス、悩み、睡眠環境、運動不足などさまざまなことが考えられます。寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚めるという症状がある場合は、不眠症の可能性があるため、まずは精神科専門医に相談しましょう。

カフェインやニコチン、アルコールなどの過剰摂取

個人差はありますが、アルコール、カフェイン、ニコチンを一定量以上摂取すると、それらの物質への依存に繋がる可能性があります。依存症状として、抑うつ気分やイライラなどの気分の変化や情緒の不安定性を引き起こすことがあります。一般的に身近にある嗜好品ですが、乱用や過剰な摂取には注意が必要です。

環境の変化

転職、退職、引越しなどの大きな環境の変化は、情緒が不安定になる原因にも繋がります。結婚や昇給といった喜ばしい変化でさえ、心身に負担をかけることがあります。毎年3月から4月にかけての年度の切り替わりの時期は、進学や卒業、クラス替え、異動や転勤などの環境の変化が多いため、この時期になると情緒不安定になる方もいます。また、変化した環境に適応しようと無理をしている時にも、情緒不安定になる場合があります。

季節による影響

季節の変わり目における気温や気圧の変化、日照時間の変化は、気分が落ち込んだり、やる気がなくなったり、倦怠感を感じたりと、身体的、精神的な不安定を引き起こす要因になります。これにより情緒不安定になる方もいます。特に冬は日照時間が短くなり、気持ちを安定させる脳内神経伝達物質のセロトニンの分泌が減少することがあり、人によっては悲しく憂鬱な気分になり、心身の健康に影響を及ぼすことがあります。

情緒不安定な時の対処法

十分な休息を取る

十分な休息を取る

まずは心身ともに回復するために、十分な休息を取ることが大切です。睡眠時間をしっかり確保し、不要な外出はひとまず控えるなどの休息の時間を必ずとってください。寝つきが悪い場合は、ベッドに横になってリラックスするだけでも休息はとれます。休日はゆっくり過ごし、いつもより早めに自宅へ帰るのも良いでしょう。

規則正しい生活リズムを作る

規則正しい生活リズムを作ることで、体内時計が正確になり、十分な睡眠がとれるようになります。まずは、朝決まった時間に起床し、決まった時間に就寝することから始めると良いでしょう。また、食事の内容や食事を取る時間を見直し、カフェインやアルコールなどの嗜好品の摂取量を調整することもお勧めです。

適度な運動をする

適度な運動をしている時はご自身の注意は外界に向けられています。たとえば、ウォーキングやランニングでは周囲の景色を見渡したり、すれ違う人や車に注意したり一時的ではありますが、情緒不安定は解消され、身体活動がリフレッシュ効果をもたらします。また、習慣的な運動は睡眠の質を高める効果があります。体を動かすことはストレス解消にも繋がります。ストレッチやウォーキングなど、簡単な運動から始めると良いでしょう。

気持ちを整理する

ご自身の気持ちをノートなどに書き出してみると、客観視しやすくなり、気持ちを落ち着けるための材料となります。セルフモニタリングと呼ばれる手法では、どのような出来事が起こり、その時にどう考え、どのように感情が動いたか記録します。また、受診した際に、現在の状況を医師に説明する際にも役立ちます。

周囲の人や専門家に助けを求める

ご自身の気持ちや悩みを誰かに話し、助けを求めることも対処法のひとつです。決してお1人で抱え込まず、精神科や心療内科を利用し、医師などの専門家に助けを求めましょう。

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