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「長時間労働とその対策について」
~職員の健康とタスク管理~

長時間の過重労働は心身の不調をまねく

長時間の過重な労働は疲労やストレスの蓄積となる原因となり、心臓病やメンタル不調のリスクが高まることが分かっています。職場環境の改善に積極的な会社は、長時間労働を削減し、ワークライフバランスをはかるとともに職員の健康管理について適切な対策を講じています。長時間労働者を会社がどのように把握して、職員の心身の健康を守る仕組みとなっているか、その概要についてお伝えします。また、長時間労働となりがちな方が、それを改善するために上手くタスク管理をする手段にについてまとめています。

職員の健康管理について

会社は1カ月の労働時間を把握した後に、職員の健康管理を適切に行うために必要な情報を会社の産業医に提供しなければならないことになっています。健康管理のために会社の産業医に以下の情報が通知されます。

  • 時間外・休日労働が1カ月当たり80時間を超えた職員とその時間外労働についての内容
  • 長時間労働者への面接指導とストレスチェックに基づく面接指導実施後に行った対策と今後行う予定の対策
  • 対策をしない場合にはその理由

など

この内容を基にまずは産業医が健康状態を把握するために面接指導を行います。長時間労働者で面接の対象となる職員は主に次の方です。

  • 時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超えて、かつ疲労の蓄積が認められ、面接指導を申し出た方

この時に大切な情報として、出勤・退勤時間、通勤方法・通勤にかかる時間、仕事による負担の有無、仕事の裁量度、職場での支援状況、長時間労働の理由や見通し、今後の対策、人事からの勤怠情報などをもとに話し合いがなされます。職場内で産業医による面接指導の目的は、長時間労働や業務の過重によって心臓の病気や、メンタルヘルス不調にならないよう予防することです。その際に以下の状態に留意して、ご本人と話し合いが行われます。職場で何らかの対応が必要と判断されれば、就業上の配慮をする必要があります。

  • 労働時間が長くなっているのはどのような理由か
  • 長時間労働や業務の過重性が改善される見通しはあるか
  • 長時間労働が生活や睡眠に悪影響を与えていないか
  • 心身の疲労を翌日に持ち越していないか
  • 燃え尽き(バーンナウト)抑うつの症状はないか
  • 仕事以外の要因が疲労状況や健康状態に影響を与えていないか

など

 

この面接ついては以下の法律、規則によって定められています。

労働安全衛生法

第66条の8 事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

労働安全衛生規則

第52条の2 労働安全衛生法第66条の8第1項の厚生労働省令で定める要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。

長時間労働の改善(タスク管理)について

長時間労働を改善するためには、まず長時間労働が生じている根本的な原因を追究し、その解消や改善をめざして計画をたてる必要があります。これを行うにあたっては上司と相談しつつ業務分担について話し合う必要も出てきます。割り当てられたタスクを効率よくこなすために、ご本人でのタスク管理は非常に重要です。会社の業種や、ご本人の職位、職種、労働環境によって長時間労働の改善方法は様々ですが、一般的な改善策として次の点に注意すると良いとされています。

タスクを箇条書きにする

例えば、担当業務が多すぎる場合には、まずタスクを箇条書きにして列挙し、上司と相談しながら優先すべきタスクを選び、現実的な達成目標を立て直すこと、行うべき具体的な作業まで想定して実施計画を立てることを考えていきます。業務上の課題を書き出してリストにすることをお勧めします。ご本人が多彩なタスクを俯瞰することで、締切日順に整理したり優先順位を検討したりするうえで役立ちます。また、多くの課題を記憶しておかなくてはならないという心理的な負担が軽くなります。タスクが達成されたら、それを消し込む作業をすることで不安感が和らぎます。スケジュールを立てるときに、余裕をもって計画をすること、この時必要に応じてダミーの予定を入れておくなど、余裕を持たせておくのも助けになります。

新たなタスクや仕事を引き受けないようにする

ご本人にとって気を付けて頂きたいこととして、新たに長時間労働の原因になりそうなタスクや仕事を引き受けないようにすることが大切です。これをご本人から上司や同僚に上手く伝えるのは難しいかもしれませんが、長時間労働を避けるためには今以上の業務負担を増やさないことが大切です。例えば、新たな仕事を頼まれた場合には、自分が取り掛かっている業務が出来なくなる可能性を伝えること、新たな仕事を担当しても納期までには達成できないことをはっきりと告げること、どうしても担当しなければならない場合には納期を伸ばしてもらうよう交渉することなどが必要です。

業務分担を相談する

業務分担について、上司とともに相談しながら、その他の業務は免除してもらい別の担当者を選任してもらうことなどを、進めていくとよいでしょう。

会議やミーティングを調整する

出席しなければならない会議が多い場合には、事前に関係者に意見を述べたり、委任状を提出したりしていくつか欠席することを検討するのも必要です。

相談できる人を増やし支援を提案する

同僚、上司、家族に対して急ぎの業務が多いことを伝えておき、支援が必要なことを提案しておきます。 また、職場内での産業保健スタッフをはじめとして、友人や家族を含めて相談しやすい人を確保するようにしておきます。ご本人の悩みや感情を言葉で表現してつたえることができれば、思考過程が整理され現状を客観視しやすくなります。仕事に没頭しすぎる傾向がある方は、仕事以外にも視野を広げた思考をするようにしましょう。

長時間労働とその対策について まとめ

会社では長時間労働者の健康を守るために、「時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超えて、かつ疲労の蓄積が認められ、面接指導を申し出た方」の面接指導を義務付けています。健康へ悪影響がでないよう今後の見通しが悪い場合などでは、就業上の配慮がなされる必要があります。また長時間労働とならないように、まずはご本人自身で動くことも必要です。上司に相談しつつ、ご本人でタスク管理をしたり、家族や同僚などの周囲への援助を求めることも大切となります。

当院では働く方のメンタルヘルスにも力を入れています。お悩みの方はお気軽にご相談ください。

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